機械学習/ディープラーニングが無料で学べる、米国有名大学の「オンライン講座/講義動画」AI・機械学習の独学リソース

アメリカのスタンフォード大学/MIT/ハーバード大学/コロンビア大学/ニューヨーク大学といった有名大学の一部では機械学習や深層学習のオンライン講座/講義動画を無料で配信している。その概要と特長をまとめる。

» 2022年08月22日 05時00分 公開
[一色政彦デジタルアドバンテージ]

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「AI・機械学習の独学リソース」のインデックス

連載目次

本稿は、2020年8月25日に公開した記事を、2022年8月18日の最新情報に合わせて改訂したものです。主にスタンフォード大学とMIT、ニューヨーク大学の内容を書き直しました。


 機械学習やディープラーニング(深層学習)を大学講義(特に海外の有名大学)レベルで徹底的に学びたい。でも本当に留学したり大学に入学したりするのは大変なのでしたくない。

 ……そのように思っている本格志向の人には、有名大学が提供する良質なのに「無料」のオンライン講座(もしくは講義動画とスライド資料)がお勧めだ。本稿ではその中でも特に有用だと考えられる米国の有名大学(下記の5つ)のものを紹介する。ただし、いずれも当然、講義は英語である(日本語字幕が付いている場合もある)。

 ちなみに、大学講義を大規模に(Massive)公開した(Open)オンライン講座(Online Courses)はMOOCと呼ばれ(その日本版のJMOOCについては本稿の最後で紹介)、世界中で人気を博している。上記の「オンライン講座」とはMOOCの一種である。MOOCでは、学期ごとに参加者が募集される(頻繁に学期が開催されているので、ほぼいつでも参加できる)。主に週単位で学んでいき、その週ごとに確認テストがある。また、理解できないことなどがあれば、掲示板を使って参加者同士で教え合いながら解決することが求められる。最後の実力テストをクリアしてコースを修了すると、修了証書(Certificate)を有償で入手することもできる。

 また、上記の「講義動画(+スライド資料がある場合も)」は大学講義(+資料)がそのまま誰でも閲覧できる状態で公開されているものだ。確認テストなどはないが、より気軽に視聴/閲覧できるメリットがある。

 それでは、大学ごとに紹介していこう。

スタンフォード大学

オンライン講座(Coursera)

図1 オンライン講座「機械学習専門講座」(DeepLearning.AIとスタンフォード大学) 図1 オンライン講座「機械学習専門講座」(DeepLearning.AIとスタンフォード大学)

 本稿の初稿を執筆した2020年時点では、非常に有名なスタンフォード大学による「機械学習」のオンライン講座が存在していたが、いつの間にか無くなってしまったようだ。その代わりに、DeepLearning.AIとスタンフォード大学の共同提供による上記の専門講座(Specialization)が提供開始されている。この専門講座は3つのコースで構成され、いずれも修了証書を得ない「聴講コース」であれば無料で受講できる(無料トライアル申し込みボタンを押した後に表示されるダイアログの左下に「聴講コース」のテキストリンクがある。ただし聴講コースだと、Pythonコードで機械学習を体験するラボを受講できない)。

 講師は、「教えるのがうまい」と定評があり有名なAndrew Ng(アンドリュー・ング)氏だ。構成内容は、

  • コース1:教師あり機械学習: 回帰と分類
    • 第1週「機械学習の概要」
    • 第2週「複数の入力変数で回帰」
    • 第3週「分類」
  • コース2: 高度な学習アルゴリズム
    • 第4週「ニューラルネットワーク」
    • 第5週「ニューラルネットワーク:学習」
    • 第6週「機械学習の実践適用へのアドバイス」
    • 第7週「決定木」
  • コース3: 教師なし学習、レコメンデーション、強化学習
    • 第8週「教師なし学習」
    • 第9週「レコメンデーション」
    • 第10週「強化学習」

となっている。

 かつての講座と新しい講座では、項目内容も少し変わっているが、教え方が大きく変わったように筆者は感じている。かつての講座は基礎的な数学から分かりやすく教えてくれる内容だったが、新しい講座はより初学者向けに数学をあまり使わずに分かりやすく教えてくれる内容になっており、これが新たな特長/利点となっている。また、かつての講座ではOctaveというマイナーなプログラミング言語を用いていたが、新しい講座ではオプションで学べるラボでJupyterノートブック+Pythonというメジャーなツールを使うので学びやすくなった。「機械学習の基礎」を学びたいなら、取りあえずこの講座を履修するとよい。

 同じAndrew Ng氏が提供するオンライン講座に、

もありお勧めではあるが、スタンフォード大学が提供する講座ではないので(deeplearning.aiが提供)、本稿では説明を割愛する。

講義動画(YouTube)

図2 講義動画「ディープラーニング専門講座」(スタンフォード大学) 図2 講義動画「ディープラーニング専門講座」(スタンフォード大学)

 スタンフォード大学では、以下の通り、過去の講義動画をYouTubeに一般公開してくれている。

 これらの講義動画の特長は、YouTubeで気楽に視聴できること。欠点はその裏返しで、講座形式で学友とともに学んだり質問したりできないことだ。

 ちなみに、スタンフォード大学は「Stanford Online」というオンライン大学を開校しており、オンラインで日本に居ながら大学のコース(講座)に出席でき、スタンフォード大学工学部の人工知能学士号(=卒業証書)も取得できる。基本的にコースは有料である(コースごと約60万円で、卒業するには最低4コースを修了する必要があり、1〜3年で数百万円はかかる)。ただし、これは「大学講義への出席」であり、手軽ではないことに注意してほしい。

MIT(マサチューセッツ工科大学)

講義動画(YouTube)+スライド資料

図3 講義動画「ディープラーニング入門」(MIT) 図3 講義動画「ディープラーニング入門」(MIT)

 MITでは、講座「6.S191」の講義動画(YouTube)とスライド資料が無料で一般公開されている。筆者もいくつか視聴してみて、講義の分かりやすさがとても気に入った。それが特長であり、「入門」と名付けられているように、全10講義+全5演習だけ(下記の箇条書きを参照)でかなり広範な内容が学べるようになっているのもメリットだ。特に、「ディープラーニングの基礎」を短時間でより幅広く学びたい人にお勧めだ。

  • 第1講「ディープラーニング入門」
  • 第2講「ディープシーケンスモデリング」
  • 演習1「TensorFlowの紹介:音楽の生成」
  • 第3講「ディープコンピュータビジョン」
  • 第4講「深層生成モデリング」
  • 演習2「顔認識システムのデバイアス」
  • 第5講「深層強化学習」
  • 第6講「限界と新境地」
  • 演習3「エンド・ツー・エンドの自動運転制御の学習」
  • 第7講「LiDARによる自律走行」
  • 第8講「ディープラーニングにおける不確実性」
  • 演習4「最終プロジェクト」
  • 第9講「サイエンスのためのAI」
  • 第10講「音声認識」
  • 演習5「競技プロジェクト」

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