AppierのチーフAIサイエンティストを務めるMin Sun氏はAutoMLについて、正しく使用する場合に限ってメリットをもたらすと述べた。機能を正しく理解し、どのように利用すべきかを判断して、その可能性を最大限に活用することが重要だとしている。
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Appierは2020年7月6日、AutoML(自動化された機械学習)の現状と将来性について発表した。同社のチーフAIサイエンティストを務めるMin Sun(ミン・スン)氏は、AutoMLは正しく使用する場合に限ってメリットをもたらすと指摘。機能を正しく理解し、どのように利用すべきかを判断して、その可能性を最大限に活用することが重要だとしている。
AutoMLとは機械学習モデルの設計や構築を自動化する手法で、全てのプロセスを機械学習によって自動化し、効率良くコストを削減することが目的だ。これまで機械学習を活用するためには、モデルを作成したり最適化したりするデータサイエンティストが必要だった。AutoMLが普及すれば、完全に不要とはならないものの、データサイエンティストへの依存度を低く抑えられるだろう。
ただしスン氏は「AutoMLの有用性は、導入する業種、データタイプ、関係するモデルクラスによって異なる。人間の知識を完全に置き換えるものではないためAutoMLを安易に適用しないように」と注意を促している。
AutoMLの恩恵を受けられる分野の一例がデジタルマーケティングだ。十分なデータの裏付けがある反復作業や複雑な作業は、手作業よりも自動化ツールを適用した方が効率的だ。こうした作業にAutoMLを導入すれば、人間は反復作業から解放され、質が求められるタスクに時間を割けるようになる。
AutoMLの導入によってヒューマンエラーのリスクを最小限に抑えられるが、エラーを完全に排除することはできないとスン氏は指摘する。例えば、モデル自体に誤りがある場合は、人間がプロセスに関与していなくても誤った結果を出力してしまう。
「人間が問題解決プロセスに関わることでモデルの動作が間違っていることに気付き、それを修正できる場合がある」(スン氏)
人間をプロセスから排除すれば高い効率を得られるが、安易に行うとより多くのエラーを引き起こす原因になるとスン氏は指摘する。
「現時点で最良のソリューションは、特定の分野でAutoMLを使用する半AutoMLの導入だ。特定の処理を自動化することで効率を高めることができる。そのため、ビジネスの目標にとって本当に有益な場合にのみAutoMLを利用すべきだ。『技術のために技術を使う』とならないよう注意が必要だ」(スン氏)
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