米国で技術職の求人が低迷 新型コロナの影響で求人全体の傾向よりも悪化が顕著に

Indeed Hiring Labは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大以降の米国における技術職の求人トレンドの調査結果を報告した。

» 2020年08月05日 13時00分 公開
[@IT]

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 求人サイトIndeedの労働市場調査部門Indeed Hiring Labは2020年7月30日(米国時間)、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大以降の米国における技術職の求人トレンドを調査した結果を報告した。

 それによると、2020年5月中旬以来、技術職の求人トレンドは求人全体のトレンドよりも低調に推移しており、2019年のトレンドレベルを36%程度下回っている(トレンドの数値化と対前年比較の方法は、末尾の「調査方法」を参照)。

 米国はCOVID-19とその経済への影響の封じ込めに苦戦している。経済はこのところ改善しつつあったが、南部と西部の州でCOVID-19が再燃し、再びロックダウン(都市封鎖)の実施に至る可能性が浮上している。

 COVID-19危機の当初は、技術職の求人は求人全体のトレンドよりも堅調だった。技術職の多くは、対面の業務をあまり必要としないためとみられる。さらに、一部のIT企業は既にリモートワークポリシーを実施していたため、在宅勤務を容易に拡大できた。

低迷する技術職の求人

求人全体のトレンドよりも落ち込みが厳しい技術職の求人(出典:Indeed、7日間移動平均) 求人全体のトレンドよりも落ち込みが厳しい技術職の求人(出典:Indeed、7日間移動平均)

 しかし、COVID-19のパンデミック(世界的流行)が進むとともに、技術職の求人は求人全体よりも落ち込みが目立っている。技術職の求人トレンドは2020年5月中旬に求人全体よりも悪化し、それ以来、着実に差が広がっている。2020年7月24日時点で、求人全体のトレンドは2019年のレベルを21%下回った。これに対し、技術職の求人は数週間にわたって、2019年のレベルを36%下回る水準で推移しており、回復の兆しは見えない。

 Indeedは、技術職の求人が回復していない理由について、「技術職は採用と解雇のコストが高いためだろう」との見方を示している。

 職種別に見ると、ITオペレーションおよびヘルプデスクの求人トレンドは、2019年のトレンドよりも32%低下し、システムエンジニアリングは同31%低下した。この2つの職種は、技術職全体(36%)よりも低下幅が小さかったが、リモートワークの導入拡大がその理由だろうと、Indeedは分析している。

 他の技術職の求人トレンドを2019年のトレンドと比べると、ソフトウェア開発は35%、データサイエンティストは43%、IT管理は45%、それぞれ低下している。ソフトウェア開発のサブカテゴリーで、近年引く手あまただったAIおよび機械学習も、29%の低下となっている。

広がる打撃 技術集積地域以外の地域では低調顕著に

8つの技術集積地域の求人トレンド:2020年7月24日時点(出典:Indeed) 8つの技術集積地域の求人トレンド:2020年7月24日時点(出典:Indeed)

 2020年7月24日時点で、8つの技術集積地域における求人全体のトレンドを、2019年のトレンドと比べた低下幅は、いずれも全米の求人全体の低下幅(21%)を上回っている。

 また、この8つのうち4つの技術集積地域では、技術職の求人の方が求人全体よりも、2019年のトレンドと比べた落ち込みが大きい。

 こうした技術職の求人の低調傾向は、技術集積地域以外の地域ではさらに顕著だ。これは技術職のどの職種にも共通する傾向となっている。

技術集積地域以外の大都市地域では、技術職の求人トレンドの低下がより大きい:2020年7月24日時点(出典:Indeed) 技術集積地域以外の大都市地域では、技術職の求人トレンドの低下がより大きい:2020年7月24日時点(出典:Indeed)

技術職の就職競争が激化

技術職の求人への求職者の関心が増大(出典:Indeed、7日間移動平均) 技術職の求人への求職者の関心が増大(出典:Indeed、7日間移動平均)

 技術職の求人の減少とともに、技術職に対する求職者の関心が相対的に高まっている。2020年2月には、技術職の求人広告の平均クリック数は、求人広告全体の平均クリック数の68%に相当したが、7月24日には、この数字は95%に上昇した。求人広告当たりのクリック数の増加は、COVID-19前の時期と比べて、雇用機会に対して相対的に、技術職に関心を持つ人が増えており、求職者の競争が激しくなっていることを示している。

調査方法

 Indeed Hiring Labは求人トレンドを測定するため、Indeedに掲載された求人広告件数の7日間移動平均を算出。各日の移動平均を、その年の基準日や、図に示した別の日と比較して指数化した(2020年のデータは、2020年2月1日の移動平均を100とし、これと比較して指数化)。

 COVID-19による労働市場環境の最近の変化を明らかにするため、この指数を使って、2020年の求人トレンドが2019年のトレンドとどのように違うかを示した。例えば、2019年5月22日の求人件数(7日間移動平均、以下同じ)が、2019年2月1日と比べて30%増加し、2020年5月22日の求人件数が2020年2月1日と比べて20%の増加にとどまった場合、2019年は指数が100から130に、2020年は100から120に上昇する。2020年の2月1日から5月22日までの求人トレンドは、前年比で7.7%低下したことになる(120は130より7.7%小さい)。

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