IDC Japanは、世界のAIの支出額に関する予測を発表した。2019〜2024年の年間平均成長率を20.1%と見込み、支出額は2020年の501億ドルから2024年には1100億ドル以上になると予測する。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
IDC Japanは2020年10月1日、世界のAI(人工知能)の支出額に関する予測を発表した。同社はAIに対する世界全体の支出額について2019〜2024年の年間平均成長率(CAGR)を20.1%と見込み、2020年の501億ドルから2024年には1100億ドル以上になると予測する。
IDCは、AI関連の支出額が最も多い業界として小売と銀行を挙げた。小売業界での主な投資分野は「チャットbot」やレコメンデーションエンジンを利用した「カスタマーエクスペリエンスの向上」。これに対して銀行業界は「不正行為の解析と調査」「プログラムアドバイザー/レコメンデーションシステム」が中心だ。
2024年までの期間でAI支出額の伸びが最も大きい業界は、メディア、連邦/中央政府、プロフェッショナルサービスになる見通しだ。
分野別に見ると、ソフトウェアとサービスが、2020年のAI支出額全体のそれぞれ3分の1以上を占める。残りがハードウェア支出になる見通しだ。IDCによると、ソフトウェア支出額の中で最も大きな比率を占める項目は「AIアプリケーション」で141億ドル、サービス支出は「ITサービス」で145億ドルになるという。ハードウェア支出は「サーバ」が大半を占め、112億ドルの見込み。一方、成長率が最も高いと見込まれるのは「ソフトウェア」だった。
地域別ではシェアの多い順に米国、次いで西ヨーロッパ、中国。米国は半分以上のシェアを占め、小売業界と銀行業界が市場のけん引役になる。西ヨーロッパは小売業界と銀行業界の他、組立製造業。中国は国/地方政府、銀行、プロフェッショナルサービスがそれぞれ主力となる。成長率は、日本(CAGRは32.1%)とラテンアメリカ(同25.1%)の支出拡大が見込まれる。
IDCでCustomer Insights&Analysisのシニアリサーチアナリストを務めるアンドレア・ミノン氏は、次のように語る。
「交通輸送業界やレジャー、ホスピタリティー事業などを含む消費者サービス業界は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によってAI投資が減速している。これらの業界は、2020年はイノベーションやデジタルエクスペリエンスよりもコスト抑制と収益創出が焦点になり、AI投資には慎重な姿勢を取るだろう。一方、隔離やロックダウンによって生じた大規模な混乱に社会が対処する上で、AIは一定の役割を果たしたといえる。政府がAIスタートアップ企業と提携し、ソーシャルディスタンス規則の成果や国民による規則の順守状況をモニターするAIソリューションを導入しているケースや、新型コロナウイルス感染症の診断・検査を迅速化するとともに、自動リモート診察を提供し、病院の受け入れ患者数を最適化する目的で、AIを採用している病院がある」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.