ノークリサーチは、中堅中小企業を対象としたERP活用の実態と展望に関する調査の結果を発表した。導入シェアトップ3は、大塚商会の「SMILEシリーズ」、富士通の「GLOVIA smart/iZ/SUMMIT」、SAPジャパンの「SAP ERP/SAP Business All-in-one」だった。
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ノークリサーチは2020年10月12日、年商500億円未満の中堅中小企業1300社を対象としたERP(Enterprise Resource Planning)活用の実態と展望に関する調査の結果を発表した。今回の調査では、これまでとは異なり「導入を予定している企業」も対象とした。
導入済みまたは新規導入を予定しているERPを聞いたところ、上位3製品は大塚商会の「SMILEシリーズ」、富士通の「GLOVIA smart/iZ/SUMMIT」、SAPジャパンの「SAP ERP/SAP Business All-in-one」だった。
【訂正:2020年10月13日午前11時22分】初出時、小見出しと本文にて「SAP ERPからSAP HANAへの移行が企業全体で少ない」と誤解を与える表現になっておりました。正しくは「関連会社や取引先の影響によってSAP ERP導入していた中堅・中小企業についてはSAP HANAへの移行が少ない」でした。お詫びして訂正いたします(編集部)。
前回の調査まではSAP ERP/SAP Business All-in-oneがシェア首位となる状況が続いていた。同製品は2027年にサポートが終了するが、ノークリサーチによると「関連会社や取引先の影響によって同製品を導入してきた中堅・中小企業については後継製品への移行ではなく、他のERP製品に乗り換えるだろう。後継製品である『SAP S/4HANA』を導入予定と回答した割合(2.3%)が、導入済みと回答した割合(5.7%)と比べて低いことからも裏付けられる」としている。
2020年のトップになった大塚商会のSMILEシリーズは、導入済みと回答した割合(27.1%)よりも導入予定と回答した割合(31.0%)の方が高い。ノークリサーチは「今後も導入社数シェアを伸ばす可能性がある」としている。
導入済みERPの機能に関する課題を尋ねたところ、最も回答率が高かったのは「データを集計/分析して経営に生かせない」で、25.1%(複数回答、以下同)だった。ノークリサーチによると、従来、中堅中小企業向けERPの最も大きな課題は「複数モジュール間のデータ連携ができない」だったが、今回の調査では14.7%で4位の課題だった。ノークリサーチは「課題が『データ連携』から『データ活用(集計/分析)』に移っている」とみている。
デジタルトランスフォーメーション(DX)や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を踏まえた、業務アプリケーションの導入/更新に関する方針を聞いたところ、「在宅勤務への対応が容易なアプリケーションを優先する」と回答した割合は導入済み企業の35.3%(複数回答)に対して、導入予定企業では24.0%。これに対して「個別カスタマイズが不要なアプリケーションを優先する」と回答した割合は、導入済み企業が28.0%で、導入予定企業は29.5%だった。こうした結果からノークリサーチは「今後は『在宅勤務への対応』よりも、『個別カスタマイズ不要』が重要になる」と予測している。
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