ここで、私の体験談をお話しします。
私は2017年から、地元の新潟を軸に、東京のIT企業サイボウズで複業を始めました。週2日、テレワーク。月1回新潟と東京を行ったり来たりする働き方です。
複業を初めて1カ月ほどしたときのことです。こんなことに気が付きました。
「ボクは、新潟を軸に東京のサイボウズで複業をしているけれど、もし、この逆ができたら――つまり、地方の企業に、都市部のビジネスパーソンが複業できたら、人材不足に悩む地方の企業にとっても役立つはずだし、地方出身者や、地方に関心のある人にとっても、仕事を通じて行き来できるようになるからいいのではないか」
この「地方で複業」というアイデアに、当時は否定的な意見もありましたが、3年後の今、幾つかの自治体では「地方で複業」の取り組みが始まっています。私も地元新潟でワーケーションの事業開発をしながら、「地方で複業」の取り組みを始めています。
こういったアイデアは、オフィスのPCの前でウンウンうなりながら「クリエイティブなアイデアを考えよう!」と意気込んでも、「イノベーティブなアイデア、降ってこい!」と祈っても、決して生まれなかったのではないかと思います。
一方で、ただ働く環境を変えるだけでは、アイデアは浮かんではこなかったでしょう。
では、どのようにすれば、クリエイティブなアイデアは得られるのでしょうか。
私は、クリエイティブなアイデアが浮かぶためには、「ある条件」が必要なのではないかと思います。
ある条件とは、「価値観の揺らぎ」を作ることです。価値観の揺らぎとは、日常とは異なる環境(つまり、非日常)の中に身を置いたときに生まれる「価値観のギャップ」のこと。
社外の勉強会に参加したことがある人は、「あれ? うちの会社では○○が普通だと思っていたけれど、他の会社は違うんだ」「ボクの常識では○○だけど、他の人は違うのか」といった「ギャップ」を感じたことはあるのではないでしょうか?
あるいは、高校や大学の同級生と久しぶりに会って話をして、「うちの会社とは全然違うなぁ」と思ったことがあると思います。これが、「価値観の揺らぎ」です。
このような価値観の揺らぎは日常的に起こっています。普段はさほど気にすることはありませんが、多くの人が経験しているはず。この価値観の揺らぎこそがクリエイティビティであり、アイデアの源泉です。
揺らぎが大きければ大きいほど、そこに「気付き」が起きるし、「発見」が生じます。また、異なる価値観の人と話すと、「そうか、○○では□□が大切なのか。これは、自分の仕事でも生かせそうだな」といった「学び」が起きることもあります。
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