ハードウェアの制約でWindowsの新規インストールを開始できない場合の「抜け道ガイド」山市良のうぃんどうず日記(196)

Windows Serverのインストールイメージ「install.wim」はサイズが大きく、このサイズの問題とインストール対象のサーバハードウェアの制約で新規インストールを開始する方法がないという状況が生まれることがあります。そのような“詰んだ状況”に陥ったとしても、実は意外と簡単な方法でインストールを進めることができます。

» 2020年12月09日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]

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山市良のうぃんどうず日記

Windows Server 2016で遭遇する(かもしれない)インストールを開始できない問題

 「Windows Server 2016」以降のインストールメディアのサイズは大きく、片面1層DVDメディアのサイズ4.7GBを超える場合もあります。また、インストールイメージを含む「\Sources\Install.wim」は4GBを超える場合もあり(Windows 10の場合はよりサイズが最適化された「Install.esd」が使用されます)、これはFAT/FAT32ファイルシステムで許容される最大の4GBを超えています(画面1)。

画面1 画面1 Windows Server 2016のインストールメディアのサイズは5GB以上、「Install.wim」単体でもFAT/FAT32に格納できない4GBを超えるサイズ

 そのため、Windows Server 2016登場時には利用可能な光学ドライブやメディアの有無(書き込み可能なBlu-rayドライブがない、そもそも光学ドライブがないなど)やハードウェアのその他の制約から、新規インストールを開始する方法がないという状況に陥ることもありました。

 USBフラッシュドライブを4GB以上の単一ファイルを格納可能なNTFSやexFATファイルシステムでフォーマットし、ブート可能なインストールメディアを作成することは可能です。しかし、インストール先のハードウェアによってはFAT/FAT32フォーマットのUSBデバイスでなければ起動できないというものもあります(写真1)。企業によっては、外付けUSBドライブからの起動を禁止しているところもあるかもしれません。

写真1 写真1 USBドライブに作成したexFATやNTFSフォーマットのインストールメディアからは、サーバを起動できない場合がある

 以下のWindows Server 2016登場時に書かれた記事では、インストールメディアのさまざまな作成方法を説明していますが、そのどの方法も利用できないという場合があるのです。「Windows 10 バージョン2004」以降もボリュームライセンス用のISOイメージも同様にサイズが肥大化しています。

用意するものはWinREディスクとインストールメディア

 Windows Serverのインストールメディアから起動する方法がないという、一見“詰んでしまった”状況でも、実は、意外と簡単な方法でインストールを開始、完了することがでます。

 用意するのは「Windows回復環境(Windows Recovery Environment、WinRE)」を含むブータブルメディア(CD/DVDメディアやUSBドライブ)と、インストールしたいWindows Serverのインストールメディアの内容を含むディスクです。

 WinREを含むブータブルメディアとは、64bit(x64)版の「Windows 8.1」や「Windows 10」のインストールメディアでもよいですし、Windows 10の「システム修復ディスク」(Windowsのrecdisk.exeで作成可能)や「回復ドライブ」(RecoveryDrive.exeで作成可能)」でもOKです。

 インストールしたいWindows Serverのインストールメディアの内容を含むディスクとは、既にインストール用に作成してあるのなら(ただし問題のサーバを起動できない)CD/DVDメディアやUSBドライブでもよいですし、「XCOPY」コマンドで作成したISOイメージの内容をコピーしたUSB外付けディスクでもOKです。

 要は、WinREのブータブルメディアでサーバを起動し、WinREのコマンドプロンプトを起動して(画面2画面3)、そこからWindows Serverのセットアップを開始するのです。

画面2 画面2 64bit版のWindows 8.1やWindows 10のインストールメディアから起動し、「コンピューターを修復する」をクリックする
画面3 画面3 WinREの「コマンドプロンプト」を起動する

 注意点は、ドライブルートから「Setup.exe」を実行せずに、Windows Serverのインストールメディア内の「\Sources\Setup.exe」を明示的に指定してセットアップを開始することです(画面4画面5)。

画面4 画面4 Windows Serverのインストールメディア内の「\Sources\setup.exe」を実行する。ドライブルートの「setup.exe」は実行しないこと
画面5 画面5 Windows Serverの「Windowsセットアップ」が開始するので、通常通りで新規インストールする

 Windows 8.1やWindows 10のインストールメディアを使用してWinREのコマンドプロンプトを起動した場合、ドライブルートから「Setup.exe」を実行すると、Windows 8.1やWindows 10のインストールが始まってしまうので注意してください。

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(2019-2020)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


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