「若者は業務よりプライベートを重視する」は間違い? ガートナーが人材の新常識を発表人材に関する4つの誤解とは

ガートナー ジャパンは、日本のCIOが押さえておくべき人材の新常識を発表した。日本のCIOに対して、「日本企業の従業員は1社で長く働くことを好む」など人材に関する認識が誤解だと指摘し、新たな常識を基に時流に即した人材戦略を推進すべきと主張している。

» 2021年02月16日 08時00分 公開
[@IT]

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 ガートナー ジャパン(以下、ガートナー)は2021年2月15日、日本のCIO(最高情報責任者)が押さえておくべき人材の新常識を発表した。同社は「日本のCIOに対して人材に関する4つの誤解を認識し、新たな常識を基に時流に即した人材戦略を推進すべきだ」と主張している。

画像 ガートナーが主張する「人材に関する誤解と正解」(出典:ガートナー ジャパン

 ガートナーが言う人材に関する誤解とは、「日本企業の従業員は1社で長く働くことを好む」「若者はプライベートな時間を重視し残業を嫌う」「ハイパフォーマーは給与でつなぎ留める」「必要になるスキルを予測し、教育すべきである」の4つ。同社は、次のように反論している。

「今の会社で働き続けたいという意思はあまりない」

 ガートナーが実施した調査によると、「今の会社で働き続けたい」と考えている人の割合は、世界平均の39%に対して日本では35.8%と世界平均を下回っていた。ガートナーのディスティングイッシュト バイスプレジデントでガートナー フェローの足立祐子氏は「従業員が意欲を持って長く定着するような組織を作るためには『従業員を管理する』という発想から『従業員エンゲージメントを強化する』という発想に転換することが必要だ」と指摘する。ガートナーは従業員エンゲージメントを強化する施策として「キャリアパスや現在の業務の割り当て方法を見直す」「やりがいや成長機会を感じられるようにする」ことを推奨している。

「Z世代は業務とプライベートの境界線が曖昧」

 2018年以降、企業には「ミレニアル世代」(1980〜1994年生まれ)と「Z世代」(1995年以降生まれ)の異なる2種類の「若い世代」が存在するとガートナーは分析している。ミレニアル世代はワークライフバランスを重視する傾向が強いのに対して、Z世代のその姿勢はミレニアル世代よりも圧倒的に低く、業務を通じて経験の幅を広げ、自己成長を実現することに期待を示す傾向が強いという。

 足立氏は「ミレニアル世代とZ世代が職場の中心になる。CIOは、両者が対立せず互いを尊重しながら最高のパフォーマンスを出せるような環境を用意しなければならない。そのためには、働き方のルールやガイドラインを全社一律で設定するのではなく、個人が自らの業務の性質、プロジェクトの状況、好みに合わせて、働き方や働く場所を選択できるようにすることが重要だ」と述べている。

「待遇よりも受け入れ側の能力が重要」

 ガートナーの調査によると、入社の決め手となっているのは「給与」と「企業の成長性と安定性」だった。だが退職の決め手になるのは「同僚の能力」「マネジャーの能力」「人事管理」といった人に関係する項目だった。この結果からガートナーは「給与や処遇はハイパフォーマーの獲得には有効だが、定着には効果がない」としている。足立氏は「受け入れ側の従業員も高い能力を持ち、ハイパフォーマーが活躍できる組織文化が醸成されていなければ、どれだけ厚遇してもハイパフォーマーが退職するリスクは抑制できない」と指摘する。

「予測に基づいて習得したスキルの大半は使われない」

 ガートナーの調査によると、予測に基づいて習得したスキルのうち50%以上は使われていなかった。ガートナーは「技術の進化が激しく経営環境も不透明な状況では、中期的に必要になるスキルの全てをCIOが確実に予測するのは不可能だ」と指摘する。足立氏は、「これからのスキルは、タイプに分けて育成することが望ましい」としており、ビジネスに必要となるスキルや経営戦略の実行に密接に結び付いているスキルは1年程度の短期間での育成計画を立て、それ以外のスキルについてはその都度育成計画を実行することを推奨している。

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