京都大学の熊谷誠慈氏らの研究グループは、現代人の悩みや社会課題に対して仏教的観点から回答するAI「ブッダボット」を開発した。Googleの自然言語処理モデル「BERT」を活用し、最古の仏教経典「スッタニパータ」を機械学習した。
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京都大学の「こころの未来研究センター」で准教授を務める熊谷誠慈氏とQuantum AnalyticsのCEOを務める古屋俊和氏らの研究グループは2021年3月26日、現代人の悩みや社会課題に対して仏教的観点からAI(人工知能)が回答する「ブッダボット」を開発したと発表した。Googleの自然言語処理モデル「BERT」を活用し、最古の仏教経典「スッタニパータ」から抽出したQ&Aリストを機械学習した。
研究グループによると、日本では仏教離れが進んでおり、2040年には仏教寺院の4割が消滅するとも言われている。こうした仏教界の将来を危惧していた熊谷氏と東伏見光晋氏(青蓮院門跡 執事長)は議論を重ね、「仏教開祖ゴータマシッダールタのような存在をAIで創造できないかとの着想にたどり着いた」という。
ブッダボットは、スッタニパータから抽出して作成したQ&Aリストと原典の現代語訳を機械学習している。研究グループは「2500年前の経典には、現代の文脈にそぐわない内容が多数含まれているため、現代人に理解されうる説法のみを選定した」としている。
研究グループは「本技術は、学術研究や仏教界のみならず、メンタルヘルスやコンサルティング、教育産業などの分野への応用が期待できる。そのため今後は多数の仏教経典を学習させて回答のバリエーションを増やし、より適切な回答が出せるようにする」としている。
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