データサイエンティスト協会は、国内企業を対象としたデータサイエンティストの採用に関する調査結果を発表した。データサイエンティストを直近の1年間で増やした企業は49%だった。
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データサイエンティスト協会は2021年4月7日、国内企業を対象としたデータサイエンティストの採用に関する調査結果を発表した。それによると、直近の1年間でデータサイエンティストを増やした企業は49%だった。
今回の調査は、データサイエンティスト市場における需要と供給の実態把握が目的。データサイエンティスト協会は「企業での在籍状況や採用実態、欲しい人材像などを定量的に調査することで、データサイエンティストと企業のミスマッチを解消し、データサイエンティストの経験や能力を正しく生かせるようにする」としている。
データサイエンティストが1人以上在籍する企業に、最近1年間でのデータサイエンティスト数の増減を聞いたところ、「増えた」と回答した企業の割合は49%、「減った」は23%だった。データサイエンティストを増やした方法と増えた人数の平均については「社内の移動や育成」で1.4人、「新卒採用」で1.9人、「中途採用」で2.5人だった。2019年に実施した同調査では「社内の移動や育成」が4.6人で最も多く、「新卒採用」は1.1人、「中途採用」は1.7人だった。
今後3年間で採用したいデータサイエンティストの人材像を聞くと、「データによるビジネスの課題解決を得意とする人」を挙げた企業の割合が最も高く、32%を占めたが、前回調査からは9ポイント減少した。これに対して次点の「複数の分野を俯瞰(ふかん)的に見てデータ分析の活用を積極的に考えられる人」は、前回調査から8ポイント増えて26%だった。
次に、データサイエンティストのタイプを3つに分け、自社に在籍するデータサイエンティストのタイプを聞いた。
「タイプ1」は、データマーケターなど、ビジネスの課題を抽出し、データを分析して課題を解決できる人。「タイプ2」は、データアナリストなど、統計学や人工知能などの情報系の技術を理解し、統計ソフトなどを活用して専門的な分析ができる人。「タイプ3」は、データエンジニアなど、データ分析を目的として、プログラミングの知識を使ってデータを収集・加工し、システムへの実装や運用ができる人。
今回の調査では、タイプ3の割合が最も高く、51%で前回の調査から8ポイント増加した。次いでタイプ1が31%、タイプ2が18%だった。
自社で実施しているデータサイエンティストの育成や研修制度を聞くと、「社外研修の受講・紹介」を挙げた割合が最も高く48%(複数回答)だった。次いで、「基本スキルの社内研修」が43%、「社外資格の取得支援」が36%、「専門スキルの社内研修」が34%、「メンターによる個別指導」が21%だった。
野村総合研究所の塩崎潤一氏(コンサルティング事業本部 マーケティングサイエンスコンサルティング部 部長)は次のように述べている。
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で企業のデータサイエンティスト採用が落ち込む懸念があったが、中途や新卒採用に対する意欲は旺盛で、データサイエンティストへの期待が高まっていることが分かった。今後は企業の成長にとって、データサイエンティストが欠かせないものになっていく。そのためには人材の育成が重要だ」
なお、塩崎氏はデータサイエンティスト協会で調査・研究委員会の委員長を務めている。
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