ベトナムのオフショアは品質が低いと言われたくない。ふるさとベトナムのために、そして大好きな日本のために、タケオさんは今日もにこやかに奮闘する。
国境を越えて活躍するエンジニアにお話を伺う「Go Global!」シリーズ。ベトナムのオフショア企業「New IT」を経営し、越境HRプラットフォーム「Linkus」で、外国人の就業や雇用をサポートする活動もしているNguyen Manh Hung(グエン・マン・フン)さんのインタビュー。
周囲から「タケオさん」と呼ばれるマン・フンさん。前編では、ドラえもんの想像力に憧れ、タイムマシンに乗るような気持ちで日本にやってきたタケオさんの青春をお届けした。後編では、アクセンチュア勤務の後、起業にいたったいきさつや日本への思いなどを伺った。
聞き手は、アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広。
阿部川“Go”久広(以降、阿部川) ハノイ工科大学を卒業後、日本で少し働き、豊橋技術科学大学の修士課程を修了してアクセンチュアに入社されたのですね。そこではどんな業務を行っていたのですか。
Nguyen Manh Hung(グエン・マン・フン、以降タケオさん) アクセンチュアは世界的なコンサルティング企業ですから、日本でも多くの案件が、大企業の基幹システムのコンサルなど大規模なものでした。私は保険業界の担当となり、保険の申し込みシステムを開発するチームの一員として、新規開発、補修、追加の開発なども行いました。
阿部川 特に大変だった仕事など、ありましたか。
タケオさん 7年ほど務めたので、いろいろなことがありました。最初のころは、外国人ということもあって、仕事に不慣れな部分も多かったと思います。先輩も後輩もとても優秀だったので、たくさん助けてもらいました。
もちろん企業ですから、いつでも順調で晴れの日ばかりではありません。それは人生と同じですが。システム開発も、必ずしも顧客の要望通りにできるときばかりではなく、まだソリューションがないとか、問題自体が難しいとか、本当に真剣に思考を重ねないと実現できないことはたくさんありました。
最終電車の中でも解決できない問題で頭がいっぱい、ということはよくありました。うまくできなかったことが、一晩寝て翌日出社したらできた、といったこともありました。睡眠も大事ですが、眠っている間も考えちゃって(笑)。そんなことが忘れられないですね。
私は困難なことを解決するのが結構好きなので、解決策を見つけると、救われたような気持ちになりました。理系ですから、ソリューションを考えるのが好きなのです。
阿部川 それはずーっと考え続けるからできるのですよね。大変だったけれど、というか、大変だったので楽しかったのですね。
タケオさん 作ったシステムがコマーシャルなどで紹介されると、達成感というか、本当に良い気持ちになりました。自分のやったことが人の役に立っているなあと実感できました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.