IDC Japanは、国内IT市場の地域別予測を発表した。2021年3月末時点の新型コロナウイルス感染症の影響を考慮した。2021年の市場規模は、対前年比2.7%増の18兆3772億円と予測する。IT支出の本格的な再開は2023年以降になる見込みだ。
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IDC Japan(以下、IDC)は2021年6月16日、国内IT市場の地域別予測を発表した。2021年3月末時点の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を考慮した。IDCは大都市圏とそれ以外の地域でIT支出に大きな差異が生じると予測する。IT支出の本格的な再開は2023年以降になる見込みだ。
2021年の国内IT市場規模はプラス成長に回復し、対前年比2.7%増の18兆3772億円とIDCは予測する。
「COVID-19の影響はサービス業を中心に及んでいるものの、製造業を中心とする国内の主要産業は回復し、テレワークや各種サービスのオンライン化に伴うIT支出が拡大している」(IDC)
地域別に見ると、東京都、東京都を除く関東地方、東海地方、近畿地方といった大都市圏では積極的なIT支出の拡大をIDCは見込んでいる。それに対して北海道と東北地方、北陸と甲信越地方、中国と四国地方、九州と沖縄地方では、地域経済の回復が遅れており、IT支出の成長率も低く抑えられると予測する。
IDCは「2022年以降はワクチンの接種によってサービス業の業績が徐々に回復する。ただし回復には時間がかかると考えられるため、IT支出の本格的な再開は2023年以降になる」と予測する。
地域別では、大都市圏では大手製造業を中心に多くの企業で業績が回復する。デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた投資が本格化することから、IT支出はプラス成長するとIDCは予測する。近畿地方も2025年に開催予定の大阪・関西万博に向けたIT支出は堅調に拡大するとみられる。
「大都市圏以外では、特にこれまで観光需要が好調だった地域で経済が低迷しており、経営体力の乏しい企業が多いため、2022年以降もIT支出の成長は低くなる。ただし、大手製造業の生産拠点が設置されている地域では周辺企業の業績にも改善傾向が見られる」(IDC)
IDC JapanでITスペンディンググループのリサーチマネジャーを務める市村仁氏は、「ITサプライヤーは、大都市圏以外の地域の企業に対してDXを支援することがIT支出拡大の鍵となる。特にCOVID-19を契機として抜本的な業務の見直しを模索する企業も地域を問わず増えていることから、これらの企業を積極的に支援し、業務の効率化に加えてDX推進を支援する体制を早期に整備することが求められる」と分析している。
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