Microsoftはこれまで、Chromium版Microsoft Edge安定版のメジャーバージョンを「6週間ごと」のサイクルでリリースしてきました。今後はそのサイクルを「4週間ごと」に短縮し、新たに「8週間ごと」の拡張安定版の提供を開始します。
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「Microsoft Edge」の安定版(Stable)のリリースサイクルは、Chromiumエンジンのリリースサイクルに従います。Chromiumエンジンのリリースサイクルはこれまで「6週間ごと」でしたが、2021年9月第4週にリリースされたバージョン94からは「4週間ごと」に短縮されました。これに伴い、Microsoft Edgeのリリースサイクルもバージョン94以降は「4週間ごと」に短縮されます。
企業が標準利用のブラウザとしてMicrosoft Edgeを採用している場合、メジャーバージョンアップの新機能や変更点が、利用しているWebアプリやサービスに影響する可能性はゼロではありません(エラーが発生する、アクセスできなくなる、など)。
4週間ごとに行われることになる何らかの変更や更新は、安定的な業務運用を望む企業にとっては歓迎できないものでしょう。例えば、Microsoft Edgeの「ポリシー管理用テンプレート」は、メジャーバージョンごとに更新されるため、その都度、入れ替える必要があります。
そうした企業向けにChromiumおよびMicrosoft Edgeは、リリースサイクルの短縮に合わせて、新たに「8週間ごと」にリリースされる「拡張安定版(Extended Stable)」チャネルを用意しました。
拡張安定版はバージョン94から始まり、8週間ごとに新しいメジャーバージョンを受け取る新しいオプションです。簡単に言うと、拡張安定版は“安定版の偶数バージョンのみを受け取るオプション”であり、安定版が奇数バージョンのプログラム更新(セキュリティ更新やバグ修正)を受け取っている間も、引き続き1つ前の偶数バージョンの更新プログラムを受け取ります(図1)。
Microsoft Edgeの拡張安定版チャネルの選択は、他の更新設定(インターネットからの更新の禁止など)と同様に、Active DirectoryドメインまたはAzure Active Directory(Azure AD)ドメインに参加するデバイスでのみサポートされる設定です。更新設定は、グループポリシーや「Microsoft Intune」「Microsoft Endpoint Configuration Manager」で構成できます。
グループポリシーで管理する場合、Windows向けのポリシー管理テンプレート(msedge.admxやmsedgeupdate.admxなど)は以下のサイトからダウンロードできます。
具体的は、以下のポリシーを設定することで、拡張安定版チャネルに変更できます(画面1)。Active DirectoryドメインやAzure ADドメインに参加していないデバイスでは、この設定は無視されるだけなので注意してください。
Microsoftは2021年10月21日(米国時間)に、安定版バージョン95をリリースしました。安定版チャネルではその日(またはそれ以降)にバージョン95に更新されましたが、拡張安定版チャネルのデバイスはバージョン95を受け取らず、引き続きバージョン94向けの更新プログラムを受け取ります(2021年10月28日にバージョン94.0.992.57を受け取り、その後もバージョン94の更新が続いています)。拡張安定版チャネルは、2021年11月の第4週にバージョン96を受け取ることになります(画面2)。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2009 to 2022(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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