デジタルワークプレースで仕事をより楽しく、早く、スマートにするには?Gartner Insights Pickup(241)

仕事の未来に向けて従業員の満足度、パフォーマンス、準備を高める3つの方法を紹介する。

» 2022年01月21日 05時00分 公開
[Manasi Sakpal, Gartner]

ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。

 企業が従業員のオフィス勤務を部分的に再開する動きが続く中、デジタルワークプレースに取り組む担当者は、新しいハイブリッドワークのニーズをサポートする準備が必要になっている。リーダーは、デジタルワーカーに適したデジタルワークプレースを実現するために、柔軟性や生産性、従業員の満足度、アカウンタビリティー(説明責任)など、多くの要素を考慮しなければならない。

 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)に対応して新しい働き方をサポートする必要が生じたため、リーダーはデジタルワークプレースの導入ペースを大幅に加速できた」と、Gartnerのアナリストでシニアディレクターの、マイケル・ウッドブリッジ(Michael Woodbridge)氏は指摘する。

 「従業員が次の段階で望むことは、仕事をより楽しむこと、より早く終わらせること、そして仕事の質を向上させる新しい方法を見つけることだ」(ウッドブリッジ氏)

 従業員をサポートするITは、目立たないものから必要不可欠なものになった。目下の課題は、これまでのように受け身で動くのではなく、この流れを生かし、人々の働き方に真の変化をもたらすことだ。以下では、そのための3つの指針を紹介する。

(出所:Gartner)

1.従業員の生産性と満足度を高めるために、柔軟な働き方を実現する

 Gartnerの調査によると、「いつ、どこで、どれだけ働くか」を従業員が柔軟に選択できるようにしている企業は、「従業員の55%が高いパフォーマンスを発揮している」と認識していることを示している。これに対し、柔軟な仕事環境を提供していない企業では、この割合は36%にとどまる。

 柔軟な働き方を根本から実現するには、テクノロジーが重要な役割を果たす。COVID-19下で導入したツールセットをそのまま使用し、さらには新しいツールも追加して、コラボレーションやカレンダー、会議機能をサポートするとよい。これは公平な方法で行う必要がある。全ての従業員が、重要なサービスに同じようにアクセスできるようにするためだ。

2.従業員が仕事をスピードアップできるよう、不必要な労力の原因となるデジタルフリクションを解消する

 2020年から2021年にかけて、ITおよびデジタルワークプレースのリーダーはかつてないレベルで新しいツールやテクノロジーを導入した。そのため、通知や更新案内、電子メール、メッセージの数が圧倒的に増えた。その結果、デジタルワーカーは重要な情報を見落とすことが多くなった。これらが送られてくるペースにデジタルワーカーの処理が追い付かないからだ。

 これらのチェックに追われる状況はデジタルフリクションの一種だ。Gartnerはデジタルフリクションを次のように定義している。「データやテクノロジーを仕事に活用するために、従業員が不必要な労力を強いられること」。この問題に対処するには、ワークプレースアプリケーションの使用に関するベストプラクティスを明確に周知し、生産的な時間を正確に測定できるパラメータを設定し、従業員に適切な情報だけを提供するサービスや製品を展開する。

 例えば、「Microsoft Teams」や「Slack」などのコラボレーションソフトウェアの使用に関しては、@タグを使って個々のチームメンバーに通知する場合と、チーム全体に通知する場合のベストプラクティスを確立するとよい。また、新しいベンダーを選択する際は、サブスクリプションや通知のしきい値、デバイス通知の選択といったユーザーエクスペリエンス機能を必ず評価する。

3.よりスマートな働き方を目指す

 企業は、ワークプレーステクノロジーの進化を認識し、従業員がそれを利用できるようにサポートする必要がある。幸いなことに、これらの変化の多くの基盤となるテクノロジープラットフォームは、既に導入されている。

 最善策は、仕事のやり方を本当に変えるツールに焦点を当てることだ。こうしたツールは開発や自動化、分析、人工知能(AI)といった機能を備え、従業員が独自のソリューションを定義できるようにする鍵となる。次のような新しいスキルプロファイルを持つ全てのユーザーのデジタルデクステリティ(ビジネス成果向上のためにテクノロジーを活用しようとする意欲や能力)を高めることが重要だ。

  • データ専門家:データを見つけて活用し、どんなビジネス状況でも役に立てる
  • プロセスハッカー:ビジネスプロセスを理解し、ローコードやノーコード技術を適用して自動化できる
  • 賢い思考者:AI技術を同僚に分かりやすく説明できる

 「テクノロジーを民主化することで、よりスマートなワークプレースを実現できる」(ウッドブリッジ氏)

出典:How to Make Your Digital Workplace Happier, Faster and Smarter(Gartner)

筆者 Manasi Sakpal

Public Relations Manager


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