AIやブロックチェーンは幻滅期へ、ガートナーが発表2018年度版「日本におけるテクノロジのハイプサイクル」

ガートナーは「日本におけるテクノロジのハイプサイクル:2018年」を発表した。ハイプサイクルとは新技術の成熟化の過程を表した図。AI(人工知能)やブロックチェーンに対する期待は「過剰な期待」のピーク期から幻滅期に移行し、ビッグデータは安定期に達する前に陳腐化するとした。

» 2018年10月12日 10時30分 公開
[@IT]

 ガートナー ジャパンは2018年10月11日、「日本におけるテクノロジのハイプサイクル:2018年」を発表し、日本のICT市場でITリーダーがデジタルビジネスを推進する際に重要な役割を担う代表的な約40のキーワードを取り上げた。

 ガートナーのリサーチ&アドバイザリ部門でマネージング バイス プレジデントを務める堀内秀明氏は次のように述べている。

 「2018年版のハイプサイクルでは、2017年から(図における位置の)変化を重視し、基本的に2017年版と同じキーワードを取り上げた。2017年にピークにあると評価した『人工知能』や『ブロックチェーン』に対する期待はピークを越え、『幻滅期』へと坂を下りつつある。今後、概念実証(PoC:Proof of Concept)や先行事例の結果が公表され、取り組みの困難さが顕在化するにつれて、慎重な姿勢が企業間に広まるだろう」

「日本におけるテクロノジのハイプサイクル:2018」 40の技術が5つの時期のうち、どこに位置するのか、主流技術として採用されるまで何年かかるのかを示した(出典:ガートナー)

 「今でも新コンセプトと位置付けられている『デジタルビジネステクノロジプラットフォーム』は、市場からの期待が急速に高まっている。逆に、現在幻滅期から上昇中の『ビッグデータ』は、安定期に達する前に陳腐化すると再評価した。ビッグデータの活用に向けた検証や試行は、医療や製造、公共サービス分野、顧客とのエンゲージメントといったさまざまな業種や業務で今後も進むと見られる。だが、対象が曖昧な『ビッグデータ』という表現は使われなくなり、業種・業務特化型ソリューションの一部として広がっていくだろう」

 デジタルビジネステクノロジプラットフォームとは、ガートナーが2016年から紹介しているコンセプト。自社で運用・構築するITシステムをオープンにし、社内外のビジネスエコシステムと連携させることで、より大きな成果を得ようという発想で、同社によると最近有望視され始めているという。

ハイプサイクル=企業が新技術の採用可否を判断する際の参考指標

 ハイプサイクルとは、新技術の市場について成熟化の過程を5段階で示した図。横軸に「時間経過」、縦軸に「市場からの期待度」を置いた波形の曲線で表す。成熟度に従って各キーワードを図上にマッピングしており、その形状や色は「生産性の安定期」に至るまでに要する期間を表す。

 同社によると、新開発の技術が市場に受け入れられるまでは、この曲線上で同じような経過をたどるとしている。すなわち、市場に登場した直後は期待が急上昇するが(黎明期)、成果を伴わないまま過熱気味にもてはやされ(「過度な期待」のピーク期)、熱狂が冷めると市場がいったん停滞し(幻滅期)、あらためて実質的な市場浸透が始まり(啓蒙活動期)、成熟した技術として市場に認知されるに至る(生産性の安定期)。

 ガートナーがハイプサイクルを開発した意図は、企業が新技術の採用可否を判断する際に参考指標が必要となるというもの。ハイプ(誇大宣伝)に惑わされず、自社に利益をもたらす可能性のある技術を見極めた上で、最適な投資タイミングを判断するのに役立つという。

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