2021年に躍進したWeb技術は?使用サイトの年間増加数を調査

Q-SuccessはさまざまなカテゴリーのWeb技術について、2022年1月1日と2021年1月1日の使用Webサイト数を比較し、最も増加数が大きかった上位3つの技術を「Web Technologies of the Year 2021」として発表した。コンテンツ管理システムやサーバサイドプログラミング言語、JavaScriptライブラリなど17種類の技術が対象だ。

» 2022年01月27日 14時00分 公開
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 Q-Successは2022年1月3日(米国時間)、さまざまなWeb技術について、2022年1月1日と2021年1月1日の使用Webサイト数を比較し、最も増加数が大きかった上位3つの技術を「Web Technologies of the Year 2021」として発表した。

 この比較調査「Web Technologies of the Year」は、同社のWeb技術調査サービス「W3Techs - World Wide Web Technology Surveys」の一環として毎年結果が発表されている。人気ランキングの上位の1000万サイトが調査対象だ。その中には、Alexa Internetのランキングによる上位1000万サイトと、Tranco(tranco-list.eu)のランキングによる上位100万サイトが全て含まれる。

 Q-Successは、ソフトウェア品質管理コンサルティングやインターネットベースの各種サービスを手掛けている。W3TechsのWebページではさまざまなWeb技術のカテゴリーごとに、広く使われている上位2〜5個の技術を対象として、使用率や市場シェアといった統計データを毎日更新している。

 Web Technologies of the Year 2021の主な内容は次の通り。

コンテンツ管理システム

  1. WordPress
  2. Shopify
  3. Wix

 コンテンツ管理システム(CMS)では、「WordPress」が12年連続で、使用サイトの年間増加数で首位を占めた。年間増加率は9.3%だった。

 調査対象サイトでの使用率は前年(2021年)の39.5%から43.2%に上昇した。W3Techs(2022年1月7日付、以下同じ)によると、CMS市場でのシェアは65.2%。

 前年に続いて2位の「Shopify」は、使用率が3.2%から4.4%に上昇した。3位の「Wix」はShopifyとともに、ホステッドCMSを志向するトレンドの代表例となっている。

サーバサイドプログラミング言語

  1. Ruby
  2. JavaScript
  3. Java

 サーバサイドプログラミング言語では、「Ruby」が4年連続の首位となった。新しいRubyサイトの多くは、「Ruby on Rails」をベースにしたShopifyを使用している。2位の「JavaScript」は、年間増加率が55%と非常に高かった。3位の「Java」は、年によって使用サイト数に浮き沈みがある。2021年は好調だった。

 W3Techsによると、各言語の使用率では、「PHP」が78.1%と桁違いに高い。

JavaScriptライブラリ

  1. Underscore
  2. React
  3. Lodash

 「Underscore」はWebサイトで、関数型プログラミングについて多種多様で便利なヘルパーを提供するとうたっている。ますます多くの人がその多彩なラインアップを気に入っているようだ。Underscoreは今回初めて、使用サイトの年間増加数で首位を獲得した。2位の「React」と3位の「Lodash」は、人気のWebサイトビルダーであるWixで使用されていることが順位に貢献した。

 W3Techsによると、JavaScriptライブラリの市場シェアは、「jQuery」が95.4%と圧倒的に高く、「Bootstrap」(27.4%)、「Modernizr」(11.8%)が続いている。

Webサーバ

  1. Cloudflare Server
  2. LiteSpeed
  3. Node.js

 「Nginx」は2021年5月に「Apache」を抜いて、最も広く使われるWebサーバとなり、大きな話題を呼んだ。だが、使用サイトの年間増加数では、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)サービス「Cloudflare」の力強い成長を背景に、「Cloudflare Server」が前年に続いて首位を占めた。「LiteSpeed」も「Node.js」を抑え、前年同様に2位となった。

 W3Techsによると、Webサーバの使用率ではNginx(33.0%)が首位で、2〜5位はApache(31.2%)、Cloudflare Server(21.7%)、LiteSpeed(12.0%)、「Microsoft IIS(インターネットインフォメーションサービス)」(6.2%)となっている。

Webパネル

  1. RunCloud
  2. GridPane

 Webパネルは、今回新しく調査を開始したカテゴリーだ。W3Techsによると、使用率は、首位の「Plesk」でも4.4%にとどまり、2位以降も、「cPanel」(0.6%)、「RunCloud」(0.1%)、「GridPane」(0.1%)と全体的に低い。市場シェアは、Pleskが85.3%、cPanelが10.7%で、他の製品は1桁台だ。だが、使用サイトの年間増加数では、低シェアのRunCloud、GridPaneが1、2位を占めた。他のWebパネルは、使用サイトが増えなかった。

OS

  1. Linux(特定のディストリビューションでないもの)
  2. Debian
  3. Ubuntu

 「Linux」は使用サイトの年間増加数で初めて首位となった。近年、使用サイトが大幅に増えていたが、2021年は、特定のLinuxディストリビューションを割り当てられないサイトが顕著に増加した。使用サイトがこれに次いで増えたディストリビューションが、「Debian」と「Ubuntu」だった。

 W3Techsによると、OSの使用率は「UNIX」が78.9%、「Windows」が21.3%。

Webホスティングプロバイダー

  1. Shopify
  2. Hostinger
  3. Wix

 Shopifyが前年に続いて首位を占めた。2位の「Hostinger」は、使用率を前年の0.4%から1.2%に伸ばした。3位は、Shopifyと同じくホステッドCMSプロバイダーのWixだった。

 W3Techsによると、Webホスティングプロバイダーの使用率は最上位グループでも1桁台で、首位が「Amazon Web Services」(AWS、6.2%)、次いで「Newfold Digital Group」(旧Endurance、4.9%)、Shopify(4.4%)となっている。

データセンタープロバイダー

  1. AWS
  2. Hostinger
  3. DigitalOcean

 データセンタープロバイダーは、今回新しく調査を開始したカテゴリーだ。AWSが最も人気のあるプロバイダーであり、使用サイトの年間増加数が最も多かったのもAWSだった。Hostingerはデータセンタープロバイダーとしても非常に成功し、このカテゴリーでも2位に入った。「DigitalOcean」が3位となった。

 W3Techsによると、使用率の1〜3位は、AWS(8.3%)、「Google」(7.4%)、Newfold Digital Group(4.9%)。

リバースプロキシプロバイダー

  1. Cloudflare
  2. Fastly
  3. Amazon CloudFront

 Cloudflareが6年連続の首位となった。使用率は前年の15.4%から19.4%に大きく上昇した。他のプロバイダーの使用率は2%に満たない。前年と同じく、2位は「Fastly」、3位は「Amazon CloudFront」だった。

 W3Techsによると、Cloudflareは、市場シェアも80.6%と非常に高い。

DNSサーバプロバイダー

  1. Cloudflare
  2. Newfold Digital Group
  3. Hostinger

 Cloudflareは、このカテゴリーでも前年に続いて首位となった。2位は「Newfold Digital Group」、3位はHostinger。

 W3Techsによると、使用率でもCloudflare(15.5%)が首位で、「GoDaddy Group」(12.4%)、Newfold Digital Group(6.5%)、AWS(5.3%)、Google(2.4%)が続いている。

電子メールサーバプロバイダー

  1. Microsoft
  2. Gmail
  3. Hostinger

 使用サイトの増加数は、「Microsoft」がわずかな差で「Gmail」を抜いて首位を獲得し、前年の雪辱を果たした。Hostingerがこのカテゴリーでも3位となった。

 W3Techsによると、使用率ではGmailが20.3%、Microsoftが11.5%となっている。

SSL認証局(CA)

  1. Let's Encrypt
  2. Sectigo
  3. DigiCert Group

 「Let's Encrypt」はここ数年、大きな成功を収めているが、ほとんどの場合、2017〜2020年に首位を占めた「IdenTrust」をルート証明書として使用してきた(W3Techsの調査では、ルート証明書をカウントしている)。独自のルート証明書が確立されたことで、Let's Encryptは2021年に使用サイト数が大きく増加し、初めて首位に立った。2位は「Sectigo」(Comodo時代の2015、2016年に首位を獲得)、3位は「DigiCert Group」だった。

 W3Techsによると、使用率の1〜3位はIdenTrust(38.8%)、DigiCert Group(17.0%)、Sectigo(15.3%)。市場シェアの1〜3位も同じで、シェアはそれぞれ44.2%、19.4%、17.4%だ。

JavaScript CDN

  1. CDNJS
  2. jsDelivr
  3. unpkg

 JavaScript CDNの1〜3位は、2018〜2020年と全く同じ順位だった。「CDNJS」は2016年から首位を維持している。2021年8月に「Google Hosted Libraries」に取って代わり、最も広く使われるJavaScript CDNとなった。「jsDelivr」は、RawGitを買収した効果で、わずかな差で2位となった。

 W3Techsによると、使用率と市場シェアでは、CDNJSとGoogle Hosted Librariesが首位を争っている。CDNJSの使用率は13.7%、市場シェアは47.5%、Google Hosted Librariesはそれぞれ12.5%、43.4%だ。

トラフィック分析ツール

  1. Google Analytics
  2. Facebook Pixel
  3. Hotjar

 過去に7回首位を獲得した「Google Analytics」が、前年首位の「Facebook Pixel」を抜いて3年ぶりに首位に返り咲いた。3位は2019〜2020年と同じくHotjar。

 W3Techsによると、使用率と市場シェアではGoogle Analyticsが大きくリードしており、それぞれ56.8%、86.5%を占める。2位のFacebook Pixelはそれぞれ11.4%、17.3%にとどまる。

広告ネットワーク

  1. Google Ads
  2. Xandr
  3. Amazon Associates

 「Google Ads」はWeb広告市場における支配力をさらに高め、4年連続の首位となった。約10年前に別のネットワークとしてカウントされていた「DoubleClick」と「AdSense」を含めると、Google Adsの首位は8回目。Microsoftが買収しようとしている「Xandr」は、使用サイトの年間増加数が2番目に多かった。3位の「Amazon Associates」は、2017年に首位を獲得している。

 W3Techsによると、使用率と市場シェアではGoogle Adsが大差の首位であり、それぞれ46.8%、98.3%となっている。

タグマネジャー

  1. Google Tag Manager
  2. Tealium
  3. Ensighten

 タグマネジャー市場は、「Google Tag Manager」が99.6%という圧倒的なシェアを握っている。使用率では41.9%だ。使用サイトの年間増加数でも、2014年から首位を維持している。

ソーシャルウィジェット

  1. Twitter
  2. Facebook
  3. LinkedIn

 「Twitter」が2021年8月に、最も広く使われるソーシャルウィジェットとなった。使用サイトの年間増加数でも、2014、2015年に続いて首位となった。「Facebook」が「LinkedIn」をわずかな差で上回り、2位となった。

 W3Techsによると、使用率の1〜5位は、Twitter(9.9%)、Facebook(9.8%)、「Pinterest」(3.9%)、LinkedIn(3.4%)、「AddThis」(2.2%)。市場シェアはそれぞれ60.4%、59.9%、23.7%、21.0%、13.3%となっている。

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