2021年末のある日のこと、1台のWindows 10コンピュータでMicrosoft Edgeを起動しても、一瞬、「応答なし」の真っ白なウィンドウが表示された後、消えてしまうという状態になってしまいました。さて、どうしましょう(実は、テスト/評価用の仮想マシンで作り直せばいいんですけど)。
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突然、筆者の「Windows 10」コンピュータの1台で、「Microsoft Edge」を開くことができなくなりました。デスクトップ上のアイコンをクリックすると、一瞬起動したように見えますが、「Microsoft Edge(応答なし)」の真っ白なウィンドウが表示され、その後、消えてしまうのです(画面1)。
「イベントビューアー」や「信頼性モニター」(「コントールパネル」の深いところにありますが、「perfmon /rel」コマンドで素早く開けます)でエラーを確認してみても、痕跡は何も残っていません(画面2)。
このコンピュータは、「Azure Active Directory(Azure AD)」ドメインに参加しており、先日、Microsoft Edgeの拡張安定版(Extended Stable)の取得や、「IEモード」のサイトリストのテストなど、いろいろ試していたのが影響したのかもしれません。
ローカルユーザーに切り替えてみると、問題なく起動できます。しかし、問題が発生している組織ユーザーでログオンした場合は、起動できないだけでなく、「設定」の「アプリと機能」からのリセット、変更、アンインストール、コントロールパネルの「プログラムと機能」からの修復も何もできない状態です(画面3)。また、問題がなかったローカルユーザーでも、Microsoft Edgeの新しいバージョンに更新したところ、同様の問題が発生するようになりました。
Microsoft EdgeはWindows 10と「Windows 11」の標準機能であり、「設定」の「アプリと機能」やコントロールパネルからアンインストールする手段は提供されていません。
しかし、実は、コマンドラインからであれば、アンインストールすることができます。
具体的には、コマンドプロンプトを管理者として開き、Microsoft Edgeのインストーラーがある場所「C:\Program Files (x86)\Microsoft\Edge\Application\<バージョン>\installer」フォルダ(64bit版Windows 10/11の場合。32bit版Windows 10の場合は「Program Files (x86)」ではなく「Program Files」になります)に移動して、次のコマンドラインを実行します。
setup --uninstall --force-uninstall --system-level
アンインストールにはしばらく時間がかかります。しかも、進行状況は表示されません。十分に時間をとって、「C:\Program Files (x86)\Microsoft\Edge\Application\<バージョン>」フォルダから「msedge.exe」」などのバイナリが消えたのを確認したら、コンピュータを再起動します。
再起動したら、別のWebブラウザや「Invoke-Webrequest(wget)」コマンドレットなどを使用して、以下のサイトからMicrosoft Edgeの最新バージョンのインストーラー(64bit版の場合はMicrosoftEdgeEnterprisex64.msi)をダウンロードしてインストールします(画面4)。
これで、問題なくMicrosoft Edgeが起動できるように回復しました。その後は、Microsoft Edgeを更新しても問題は再現していません。
なお、Microsoft Edgeをアンインストールしてから再インストールした場合は、「設定」の「アプリ」→「既定のアプリ」で、既定のWebブラウザを再設定する必要があるかもしれません(Microsoft Edgeを既定にしていた場合)。
また、強制的にアンインストールすると、デスクトップ上の「Microsoft Edge」アイコン(ショートカットリンク)が消えてしまいます。再インストールでアイコンが復元しない場合は、スタートメニューから「Microsoft Edge」をデスクトップ上にドラッグ&ドロップすることで、ショートカットリンクを復元できます(画面5)。
Microsoft Edgeが起動しない問題は、通常、設定のリセットやユーザーの再作成、システムの復元、システムイメージ(バックアップ)のリストアなどで解決できる場合があります。
強制アンインストールと再インストールによる回復方法は、そうした手段が利用できない場合、あるいはしたくない場合の最終手段とした方がよいでしょう。問題の原因が不明な場合、問題が再発する可能性があるからです。
ちなみに、今回の問題は、Microsoft Edgeの「拡張安定(Extended Stable)」チャネルのWindows 10で発生し、このチャネルのままでは次の更新時に問題が再現しました。「安定版(Stable)」に切り替え、もう一度、アンインストールと再インストールを行ったところ、その後の更新で問題は再現しないようになりました。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2009 to 2022(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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