ここからは、ポストコロナのフリーランスエンジニアが持っていると役立つ5つのコンピテンシー(行動特性)を紹介します。
1つずつ解説していきます。
第一は「オープンマインドである/自己開示できる」ことです。
リモート環境において、心理的に安心できる環境を作ることがどれだけ重要で難しいか、私たちは身をもって感じています。安心できる環境は、「自分が安心して仕事に取り組む環境」と「他者と連携して安心感を持って仕事に取り組める環境」の2つがあります。
どちらにも共通するうまくいくコツは、オープンマインドであることです。では、どうすればオープンマインドに振る舞えるのでしょうか。
例えば、オンライン上で行われる何気ない会話に積極的に参加するだけで、あなたのオープンマインドな姿勢を他者に伝えられます。また、他者に興味を持ち、相手の発言やテキストの裏にある感情に配慮する意識を持つと、それが習慣化し、自分と異なる意見や思想を受け入れやすくなります。
オープンマインドな姿勢は、心の内を開示しやすい関係性の構築にもつながります。悩みや不安ごとを他者に相談することも容易になるかもしれません。直接会えない環境だからこそ、いつもより少しだけ意識して取り組んでみましょう。
第二は「セルフコントロール(感情の抑制)ができる」ことです。
意見が合わない人がいたり、嫌なことを言われたり、という出来事は、仕事を進めていく上であり得ることです。しかしそんなときこそイライラせず前向きに対処する姿勢が、あなたを救います。
セルフコントロールは、「レジリエンス」といわれる「回復力」や「しなやかさ」につながるものです。気軽に相談しにくい、弱音を吐きづらいリモート環境だからこそ、有用な力です。
目の前の事象にとらわれずに物事の本質を捉えること、そして、これまで自分が積み上げてきた経験に自信を持ち、どっしりと構える意識を持ちましょう。負の感情に襲われそうになった際のリフレッシュ方法を普段から持っておくのも有用ですね。
第三は「道徳心を持っている」こと。コンプライアンスはもちろん、人の道に外れたことをしないという姿勢です。
参画先のルールを守り、人や事象に誠実に対応することは、もちろん今までもされてきていると思いますが、テレワークの仕事環境では、「見えない」からこそ疑念を抱かれやすいことを知っておいてください。
エンジニアは、技術力や立場を利用して情報漏えいや改ざん、不正アクセス、データの盗難などのセキュリティインシデントを起こせる(起こしやすい)立場にあります。だからこそ、「できるけれどもしない」し、それを意識的にアピールする必要があるのです。
リモート環境で周囲に他者の目がないときに、一番信頼すべきは自分ですし、一番疑うべきなのも自分です。人として、社会人として、正しい行動をとれるよう、道徳心を基準として自らを律する心を持ち続け、またその姿勢を周囲にも示しましょう。
第四は「柔軟性のある思考を持っている」ことです。
これは、困難な状況を何とかするときに必要な能力です。技術革新のスピードが速く、毎日のように新しいサービスが生み出される中、今までのやり方や考え方だけではなく、自由な発想、そして企業に寄り添った発想があなたを救います。
先行きが不透明な現況において、今まで積み上げてきた思考ややり方をいかに捨てられるか、もしくはいったん脇に置いておけるか。その上で人の意見に耳を傾け、新しい技術や思想を取り入れること、考えてアウトプットすることがあなたの成長につながります。
これまで素晴らしい実績を上げてきたフリーランスエンジニアには難しいかもしれませんが、ポストコロナを生きるためには、なくてはならないコンピテンシーです。
最後は「使命感が強い」ことです。
チームや取引先から求められている役割を理解し、それを全うするために動ける、ということです。
自身に依頼、発注されている案件に注力することはもちろんですが、客観的、俯瞰(ふかん)的に全体像を捉え、関わっているプロジェクトの目標達成のために何をすべきか、技術者視点での解決策やリスクヘッジを発注先に提示することも大切です。
一緒に作り上げる、より良いものにしていく姿勢を持っているフリーランスエンジニアは、どの参画先でも重宝されます。プロジェクト全体の成功に焦点を当て、やり抜く力と姿勢を発揮することが、あなたの未来をより良いものへと導いてくれるのです。
ポストコロナのフリーランスエンジニアが持っていると有用な5つのコンピテンシーをお伝えしました。
エンジニアに「テクニカルスキル」が重要であることは否定できませんが、オフィスワークとテレワークのハイブリッドな働き方が浸透し、プロジェクトに携わるメンバー同士が物理的に離れていることが当たり前になったからこそ、社会や企業から求められる「信頼感」の比重が増してきています。
フリーランスエンジニア特化のエージェントの本音をお伝えしますと、いくらスキルフルなエンジニアであっても、信頼に足らないと判断してしまったら、案件を紹介することはできないのです。
成果を安定的に生み出せるのか、安心して仕事を任せられる相手なのか――。
その問いに対し、自信を持って首を縦に振れるフリーランスエンジニアこそ、ポストコロナを生き抜き、理想の暮らしや収入などを手に入れられるでしょう。
ギークス 取締役/IT人材事業本部長
1977年生まれ。早稲田大学卒。2009年ギークス入社、新規事業や新サービスの立ち上げを経て、2016年よりIT人材事業本部長、2018年11月に取締役に就任。現在は、ITフリーランスの「働き方の新しい当たり前をつくる」を事業ビジョンに掲げ、さまざまなサービス開発を指揮し、同社の主幹事業をけん引している。
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