ライセンスコスト削減に貢献するか? Azure Stack HCIゲスト用のWindows Serverサブスクリプションアドオンの一般提供開始Microsoft Azure最新機能フォローアップ(169)

Microsoftは2022年4月21日(米国時間)、4月1日からAzure Stack HCI向けの「Windows Serverサブスクリプション」が購入可能になったことを発表しました。Windows Serverサブスクリプションを利用すると、場合によっては、物理サーバにWindows Server 2022 Datacenter Editionのコアライセンスを購入して割り当てるよりも、コストを削減できる可能性があります。

» 2022年04月28日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]

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Windows Serverサブスクリプションとは?

 「Azure Stack HCI」は、OEMの統合システムとして導入する、またはAzure Stack HCI認定ハードウェアで構築したホストクラスタの仮想化インフラストラクチャです。ハードウェアはオンプレミスに購入、設置しますが、WindowsとLinuxの仮想マシンをホストするサービスはMicrosoft Azureのサービスとして提供される、Azureのハイブリッドサービスです。オプションでAzure Kubernetes Service(AKS)on Azure Stack HCIやAzure Virtual Desktop on Azure Stack HCI(現在プレビュー)の環境を導入することもできます(有料)。

 Azure Stack HCIのクラスタは、「Windows Admin Center」を使用して簡単にセットアップできます。また、Azure Stack HCIのサービスはAzureに登録することでアクティブ化(物理コアに基づいて)し、Windows Admin CenterおよびAzureポータルで管理できます。

 仮想マシンのゲストOSのライセンスは、Azure Stack HCIのサービスには含まれず、これまでは自前で用意するBYOL(Bring Your Own License)方式でした。つまり、Azure Stack HCIのハードウェアの物理コアを満たす「Windows Server 2022 Datacenter」コアライセンスを購入することで、無制限のWindows Server仮想マシンをAzure Stack HCI上で実行できます。

 2021年4月1日から、Windows Server仮想マシンをAzure Stack HCI上でホストできるゲスト用ライセンス「Windows Serverサブスクリプション」をAzure Stack HCIにアドオンできるようになりました。

 Azure Stack HCIの料金(月額1215円/物理コア)に加え、Windows Serverサブスクリプションの月額2853.1円/物理コアを支払うことで(最初の60日間は無料)、無制限のWindows Server仮想マシンインスタンスをデプロイして実行することができます。

 Windows Serverサブスクリプションを利用すると、以下のWindows Server仮想マシンを月額料金で利用できます。そして、重要なことは、いつでもキャンセルできるということです。

  • Windows Server 2012/2012 R2
  • Windows Server 2019
  • Windows Server 2022
  • Windows Server 2022:Azure Edition

 BYOLの場合は、Windows Serverにアクセスするクライアントデバイスまたはユーザーごとに「Windows Serverクライアントアクセスライセンス」(CAL)を購入する必要があります。Windows Serverサブスクリプションの場合は、AzureのWindows仮想マシンと同様、Windows Server CALを必要としません。

 また、サポートされるゲストOSには「Windows Server 2022:Azure Edition」も含まれるので、「ホットパッチ」や「SMB over QUIC」といったAzure Editionだけの機能をオンプレミスでも利用できるようになります。

 Windows Serverサブスクリプションは、Azureポータル、Windows Admin CenterのAzure Stack HCIの「設定」ページ、またはPowerShellコマンドレットを使用してアクティブ化できます(画面1)。

画面1 画面1 AzureポータルからのWindows Serverサブスクリプションのサブスクライブ

 Azure Stack HCI上のWindows Server仮想マシンのライセンス認証は自動的に行われます。詳しくは、以下のドキュメントで説明されています。

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2009 to 2022(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


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