PwCコンサルティングは、「日本企業のDX推進実態調査2022」を発表した。DXに取り組む日本企業の現状を解説し、DXを成功に導くための重要事項を取り上げている。
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PwCコンサルティング(以下、PwC)は2022年6月8日、「日本企業のDX推進実態調査2022」を発表した。DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している企業に所属する幹部(管理職以上)を対象に実施したもので、1103人から有効回答を得た。
DXへの取り組み状況を見ると「経営戦略に基づき、全社的にDXに取り組んでいる」という回答が59%を占めていたが、「十分な成果が出ている」と回答した割合は10%に過ぎず、約3割は「望んだ成果が出ていない」(あまり成果が出ていない、全く成果が出ていない、成果が分からない)と回答している。
PwCはこの調査結果で「十分な成果が出ている」と回答した企業の取り組みを分析し、DXを成功させるための4つのポイントをまとめた。
1つ目は「将来のビジョンの具体化」。企業の取り組みの中で成果に関係していると思われる要因を分析したところ、DXの成果創出に最も影響するのは「経営層がDXに関する明確なビジョンを描き、ビジョンが具体化していること」だという。PwCは「トップが全社をリードしながら未来を想定した事業構想を明確に描き、それを分かりやすい形で具体化することが重要だ」としている。
2つ目は「現場へのDX浸透」だ。DXに関する戦略や計画の理解度がどのくらい成果と関係しているか調べると、どの職階についても、理解度が高いほどDXの成果が現れやすい傾向にあった。特に一般社員やグループ会社の社員、海外拠点に在籍する社員の理解度が高いとDXの成果につながりやすく、「現場社員との対話など適切なコミュニケーション施策を実行することで、全社員の行動変容を促すことが肝心だ」とPwCは指摘している。
3つ目は「DX推進組織によるけん引」。「DXを主導している組織は何か」と聞いたところ、「新たに立ち上げた専門組織(が全社DXを推進している)」と回答した企業が最も成果を実感しており、74%だった。「経営企画部門」と回答した企業は64%、「情報システム部」と回答した企業は52%がそれぞれ成果を感じていた。PwCは「DXによる成果を獲得するには、経営企画部門や情報システム部門といった既存の組織が担うのではなく、専門組織を立ち上げる方が良い成果が得られることが分かった」としている。
4つ目は「CxO(Chief x Officer)のリーダーシップ」。DXで「十分な成果が出ている」と回答した割合は、CxOを設置していない企業の3%に対して、設置している企業は17%だった。PwCは「全社的にDXを推進するためには、その責任者を明確にした上で社内外に分かりやすく伝え、強力なリーダーシップの下、各種DX施策を実行することが重要だ」と述べている。
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