リモート環境での活動にメールの利活用は欠かせない。しかし、そうした状況を逆手にとった攻撃も増えている。ここでは、メールを巡るセキュリティについて考えてみたい。
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本記事は、株式会社インターネットイニシアティブの許可をいただき、「IIJ.news Vol.169」の「セキュリティのトレンド 2022 Spring メッセージングセキュリティの第一歩」(2022年4月号)を転載したものです。そのため、用字用語の統一ルールなどが、@ITのものと異なります。ご了承ください。
執筆者プロフィール
櫻庭 秀次
IIJ ネットワーク本部 サービス推進部
コミュニケーションシステムに関する研究開発に従事。特に快適なメッセージング環境実現のため、社外関連組織と協調した各種活動を行う。
M3AAWGの設立時からのメンバー。JPAAWG(Japan Anti-Abuse Working Group) 会長。迷惑メール対策推進協議会 座長代理、幹事会 構成員、技術WG 主査。
一般財団法人インターネット協会 迷惑メール対策委員会 委員長、客員研究員。
コロナ禍により社会環境が変化し、リモート環境での作業やコラボレーションが進んでいます。こうしたタイミングでさまざまな場所からインターネットに接続できる環境がある程度整ってきたことは、社会活動の継続のための有益なツールとして活用されていると同時に、インターネットが重要な社会基盤となっていることを実感する部分でもあります。
しかしながら、インターネットの利用者や接続する機器が増えれば、それらを狙うような攻撃行為も増えてきます。
有名ブランドなどを騙って偽のサイトに誘導し、ログイン情報や金銭につながるような個人情報を摂取するなりすましメール(フィッシング詐欺)が引き続き高い頻度で続いています。
最近では、マルウェア(不正プログラム)に感染させることで、PCに保存されている情報を窃取したり、それらの情報を悪用して新たなマルウェア感染者を増やすといったなりすましメールも急増しています。ほかにもファイルを暗号化して解読と引き換えに金銭を要求するランサムウェアなど、その手口や対象も広がっています。
特にランサムウェアは、暗号化されたファイルが顧客の個人情報など重要なものであった場合、支払いに応じなければインターネット上に公開すると脅迫するなど、より悪質化しています。
また、重要なデータが暗号化され参照できなくなってしまうことで、業務遂行に影響をきたし、経営上の問題にまで発展する可能性もあります。
メールは組織内部に直接情報を届けることができるほぼ唯一の手段であり、多くの組織で利用されています。届ける情報も、単なるテキストメッセージだけでなく、添付ファイルのようにPCで実行可能なプログラムなど、多様なデータを運ぶことができます。
PC利用者間でのデータも共通化され、相互利用できるようになりましたが、そうした便利な環境は、マルウェアやそれへの感染を促すデータの送信者にとって都合が良い環境となっています。
悪質な行為を行なう側は、ビジネス(金銭)が目的なので、特定の手法に対する対策を講じたとしても、また新たな手法を生み出して攻撃を続けてきます。
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