次の話題は、「案件の記載や商談時の発言で、嫌だと思うこと」だ。
E・R氏は、「参画初日、開発環境手順やシステムの資料が不十分過ぎて、やることが何もなかったことがありました。なるべく初日から業務できるよう、タスクを用意してほしかったです」と過去の体験を語った。それ以来、面談時には、現場のWikiの整備具合を尋ねるようになったという。ちなみに、面談時の嫌な思い出は、特にないとのことだ。
O・T氏は、「あまり嫌とか残念とか思ったことがない」という。強いて言うなら、「リモート勤務の対応がなく全出社を要望されるとマイナスの印象になるのでは」とのことだ。「私も全出社は少し嫌。ただし週1〜2日程度なら構わないと思っています」と譲歩もする。
「テレワークが整備されていないとマイナス要因と考えるエンジニアはどれくらいの割合いるのか」という質問には、ギークスが回答した。
「大体7割はテレワークを希望していると思います。フルリモートではなくても、一部リモートにしたいという要望も。地方在住である場合など、居住地を問わずに仕事に参画したいという方も多くいます」(ギークス)
H・K氏は、「商談時にすごい嫌な発言をされたことはありませんが、一度、技術的な話で口論になったことはありました」と述べる。開発の思想の部分の違いでギスギスしてしまい、詰め寄られるような状態になってしまったそうだ。「さすがにそういう雰囲気になった現場には、行きたくなくなってしまいます」(H・K氏)
参画後の残念な体験としては、支給されたPCの開発環境が非常に悪く、プログラミングがままならなかったことがあるという。「タイピングして3秒後くらいに構造が反映される。シンクライアント端末で、データは全てネットワーク上にあって、ネットワークがすごく遅かったのです」(H・K氏)
セキュリティ規定に合わせてシンクライアント端末を採用する企業が増えているが、「スピーディーにプロダクトを開発したいエンジニアからすると、(かつての自分のような状態になるのは)結構嫌なのではないでしょうか。私もすごく敬遠してしまいました」とH・K氏は述べた。
3つ目のテーマは、「エンジニアがつい参画したくなる企業の特徴」だ。
H・K氏は、「商談の際、技術責任者や部門リーダーとのやりとりが気持ち良くできると参画したいと思います」と話す。「いま入っている現場も、特殊な案件で経験がなく、募集要項の文面を見た段階では魅力を感じませんでした。ところが面談で責任者と話がとても合い、参画後の現場の雰囲気がイメージしやすくなり、参画したいと考えました」と実体験を語った。
「どのようなところで、そう思ったのか」というギークスの問いに、H・K氏は、「技術的な話が合うかどうかも前提になったのですが、それ以外の雑談っぽいところも」と答える。雑談の中で、現場に「お酒を飲むのが好きな人が多い」「ゴルフをやっている人がいる」(H・K氏の趣味の一つがゴルフである)といった話を聞いたことで、一緒に働く人たちが「自分と合いそうだ」とイメージしやすかったそうだ。また、当時はコロナ禍以前で、面談時にオフィス見学をしながら、開発メンバー数人と話す機会を設けてくれたことも良かったと話す。
O・T氏は、「募集要項や商談時の内容に大きなずれがないのが大前提」と前置きした上で、「いまの現場は、商談した翌日か翌々日くらいに正式オファーをもらい、即参画を決めました。『早い方がイメージが良い』というのは確かにあると思います」と述べた。もともと「募集要項の書類の内容も商談の雰囲気も正直普通で、第2希望か第3希望くらいでした」とのことなので、スピードにはその考えが変わるほどのインパクトであったということだ。
E・R氏は、「『フルリモートOK』『週2出社OK』とあったら飛び付きます。もちろん『人』が一番なので、商談時の雑談が面白ければ参画したくなります」と述べた。
面白いことや笑いを大事にしているE・R氏は、「真面目な雰囲気の方と商談を実施する際に、どのようにフランクに回答すればよいのか」という質問には、「ちょっとだけ、笑い声を入れてみる」と答えた。「相手がくすっとなれば成功。そうなるともう引っ掛かっているので、後は釣るだけです」と釣りに例える当たりもユーモラスだ。
フリーランスマスターたちの案件選びの共通項は「人」であった。前提として金額面や条件面なども見るが、同じ条件だったりあまり差がなかったりする場合には、人柄などさまざまな側面から意思決定をしており、特に商談時は、参画後に働く現場や、上司・同僚のイメージが持てるかが重要なようだ。
意外でもあり、当たり前でもあるこの結果、皆さんの参考になっただろうか。
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