富士キメラ総研は、「業種別IT投資/デジタルソリューション市場 2022年版」を発表した。2022年度の国内IT投資額は、対前年度比4.6%増の20兆1972億円の見込み。2026年度は、対2021年度比21.7%増の23兆5131億円に達すると予想している。
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富士キメラ総研は2022年9月7日、国内のIT投資動向をまとめた「業種別IT投資/デジタルソリューション市場 2022年版」を発表した。それによると、2022年度の国内IT投資額は、対前年度比4.6%増の20兆1972億円の見込み。2026年度は、対2021年度比21.7%増の23兆5131億円に達すると予想する。
これは、製造業や金融業、小売/卸売業など9業種に対して、業種特化型システムや業種共通で利用されるERP(Enterprise Resources Planning)、財務会計、人事システムなど業務システム系、営業、マーケティング系、セキュリティといったカテゴリー別のIT投資状況を調査し、将来の投資額を予想したもの。
富士キメラ総研によると、2021年度は大手企業を中心に収益が改善したことからDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に関連した投資が拡大したという。特にコロナ禍の影響でデータマネジメントや自動化、遠隔監視に向けた投資が加速している。これに対して保守運用(ランザビジネス)関連の投資は減少するという。その理由として同社は「既存システムのダウンサイジングやクラウド化」などを挙げている。ただ、人材不足への対応やコスト削減に向けて、既存業務の効率化やIT化への投資は増加すると富士キメラ総研は予測している。
業種別で見ると、製造業の伸び代が大きい。製造業の2022年度のIT投資額は対前年度比7.0%増の5兆4550億円の見込み。2026年度には、対2021年度比36.2%増の6兆9450億円に成長すると富士キメラ総研は予想している。生産現場でのデータ連携や可視化に向けたスマートファクトリー構築、全体最適化を目指した基幹系システムの刷新に対応した需要が中心になるという。
投資カテゴリー別では、業務システム系への投資が5割以上を占める。今後は、DXへの対応や全社横断的なデータ活用に向けて、基幹系システムを再構築するための需要が増えると富士キメラ総研は予測している。
「電子帳簿保存法やインボイス制度などへの対応に向けた投資も予想される。2022年度のIT投資額は対前年度比4.2%増の11兆6274億円の見込み。2026年度には、対2021年度比18.7%増の13兆2477億円に拡大するだろう」(富士キメラ総研)
セキュリティは、スマートファクトリー化に伴い、サイバー攻撃対策としてOT(Operational Technology)/IoT(Internet of Things)セキュリティへの関心が高まっているという。サイバー攻撃による被害が増加傾向にあるため、今後も投資が拡大する。
富士キメラ総研は「クラウドサービスの利用が増えており、ゼロトラストセキュリティへの投資が伸びをけん引する見込みだ。2022年度のIT投資額は対前年度比8.2%増の1兆1436億円の見込み。2026年度には、対2021年度比45.4%増の1兆5365億円に成長する」と予想している。
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