「不足しているのは人材ばかりではない」 ガートナーが指摘する日本企業のDX課題とはデータドリブンな組織に必要な4つの要素

ガートナージャパンは、データドリブンな組織を目指すためには、「人」「けん引力」「仕組み」「支援」の4つの要素をバランス良く備えるべきとの見解を発表した。特にリーダー自身がD&Aを理解し、リーダーシップを発揮することが重要だとしている。

» 2022年09月16日 08時00分 公開
[@IT]

この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。

 ガートナージャパンは2022年9月15日、データドリブンな組織を目指すための見解を発表した。データドリブンな組織とは、データに基づいて戦略策定や計画立案、ビジネスの意思決定などを行うことが広く定着している組織のこと。

画像 プレスリリース

 ガートナージャパンは「DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現にはデータとアナリティクス(D&A)の活用が不可欠で、そのためにはデータを駆動力としてビジネスを推進するデータドリブンが求められる」としている。

DXは「人」だけでは成功しない

 ガートナージャパンのアナリストでシニアディレクターを務める一志達也氏は、「日本企業はDXの成功を目指してデータの民主化やデータ人材、デジタル人材の育成を掲げている。しかし、人だけで成功することは難しい。他に何をしなければならないのか、重要性の高い主たる要素を理解し、それを備えるために戦略的に行動すべきだ」と述べている。

 一志氏は、データドリブンな組織になるために企業がバランス良く備えるべき要素として、次の4つを挙げている。

スキルやリテラシーを備えた人

 「高度な人材ほど役割を明確にし、組織のどこでどのように動き、どのような成果を求めるかを、組織と人材の間で合意しておく必要がある」と一志氏は説明する。同氏は、必要な人材を確保するには、社内人材を育成・採用するだけでなく、社外から人材を採用するという選択肢もあると指摘している。

リーダーのけん引力

 リーダーには広範囲に及ぶ役割が求められていると一志氏は言う。

 「組織の進むべき方向性やビジョンを示す、目的を達成するための戦略の策定と推進、任務遂行に必要な人材を集めるなどさまざまだ。リーダー自身がD&Aについて理解した上で自分事として考え、ビジネス成果の獲得に向けて強力に組織をけん引する必要がある」

ガバナンスや制度などの仕組み

 一志氏は「D&Aリーダーには、適切にD&Aガバナンスを整備することが求められている」と説明する。ガバナンスを整備するためにはビジネス上の利害関係者の合意が不可欠だ。ガバナンスの意思決定機関を設け、そこで合意を伴った意思決定が行われるようにする必要があると一志氏は指摘している。

 「ガバナンスの効果を高めるには、ビジネス主体で継続的に取り組むことが重要で、ガバナンスに対する意識を高める施策を進めることが肝要だ」

コミュニティーなどによる支援

 ガバナンスが組織の細部まで届いているかどうかを常に確認することは困難だ。そこで一志氏は、中央の執行機関と連携して現場の状況を伝え、現場にデータポリシーを浸透させる役割の「スチュワード」を任命すべきだと言う。

 「組織はスチュワードに必要な教育を施し、報酬を提供する必要がある。現場でのデータ活用機運を盛り上げ、より良い文化を醸成するためにはコミュニティーを作ることも重要だ」

 一志氏は「DXの実現やD&Aの活用を焦るあまり、つい自分の着手しやすいところから取り組みを始めたり、外部組織の手を借りようとしたりしがちだ。ここに挙げた4つの要素を備えること、その中でも特にリーダー自身がD&Aを理解し、自分事としてリーダーシップを発揮することが重要だ」と述べている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

Microsoft & Windows最前線2025
AI for エンジニアリング
ローコード/ノーコード セントラル by @IT - ITエンジニアがビジネスの中心で活躍する組織へ
Cloud Native Central by @IT - スケーラブルな能力を組織に
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。