「Windows情報保護」が非推奨リスト入り、今後推奨される新たな情報保護機能「Microsoft Purview」とは?企業ユーザーに贈るWindows 10への乗り換え案内(133)

Microsoftは2022年7月、Windows 10で導入された高度な情報保護機能「Windows情報保護(WIP)」を非推奨リストに追加しました。今後は保護ニーズに合わせて、有料サブスクリプションである「Microsoft Purview情報保護」や「Microsoft Purviewデータ損失防止」の使用が勧められています。

» 2022年09月20日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]

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「企業ユーザーに贈るWindows 10への乗り換え案内」のインデックス

企業ユーザーに贈るWindows 10への乗り換え案内

Windows 10で登場したWIP、早々に非推奨リスト入りした理由は?

 「Windows情報保護(Windows Information Protection:WIP)」は「Windows 10 Anniversary Update(バージョン1607、RS1)」で正式機能として提供された、Windowsデバイス上の情報保護テクノロジーです。

 正式提供される以前は「エンタープライズデータ保護(Enterprise Data Protection、EDP)」と呼ばれていました。この機能は、NTFSの「暗号化ファイルシステム(EFS)」を使用してデータを暗号化して保護します。また、「Azure Information Protection(AIP)」と組み合わせて、デバイスから離れるデータ(例えば、Outlook電子メールメッセージ)にAIPの暗号化保護を適用して保護を継続することもできます。

 Microsoftは2022年7月22日、以下のドキュメントで公開されているWindowsクライアントの非推奨機能リストに、Windows情報保護を追加しました。また、「Announcing the sunset of Windows Information Protection(WIP)」(WIPのライフサイクル終了に向けた案内)というブログを公開し、そのいきさつや代替ソリューションについて説明しています。

 Windows情報保護は「Windows 10」および「Windows 11」の機能であり、Windowsデバイス上でしか利用できません。異種プラットフォーム間で利用できるデータ保護ソリューションや、さまざまなクラウドアプリ/サービスで提供されているデータ保護機能をマルチプラットフォームのエンドポイントに拡張したいという顧客からのニーズがあり、そのようなニーズはWindows情報保護ではカバーできません。

Microsoft Purview情報保護とデータ損失防止

 より多くの顧客ニーズに応えるため、Microsoftは「Microsoft Purview」という包括的なデータ保護ソリューションを構築してきました。Microsoft Purviewは、以前は「Azure Purview」と呼ばれていたものと、「Microsoft 365」が備えるコンプライアンスソリューションを1つのブランドにまとめたものです。

 Microsoft Purviewにはさまざまな機能が用意されていますが、Windows情報保護の代替としては、「Microsoft Purview情報保護(Information Protection)」と「Microsoft Purviewデータ損失防止(Data Loss Prevention:DLP)」が該当します。

 Microsoft Purview情報保護を使用すると、機密情報がどの場所に保存されていても、それが移動されても、情報の検出や分類、保護ができるように、データの把握と保護、損失防止のためのツールを提供します(画面1)。

画面1 画面1 「Microsoft Purview情報保護の管理ポータル(Microsoft 365コンプライアンスマネージャー内)

 名称変更やサービスの再編が繰り返されてきたため混乱しますが、Microsoft Purview情報保護は、以前は「Microsoft Information Protection(MIP)」と呼ばれていたもので、さらに「Azure Information Protection(AIP)」はMIPの一部という位置付けでした。

 Microsoft Purviewデータ損失防止は、「Office 365」アプリや「Microsoft OneDrive」「Microsoft Edge」「Microsoft SharePoint」「Microsoft Teams」、Windows(エージェント不要)およびmacOSのエンドポイントの全てにわたって、機密情報の検出と暗号化制御を行います(画面2)。

画面2 画面2 Microsoft Purviewデータ損失保護(DLP)管理ポータル(Microsoft 365コンプライアンスマネージャー内)

利用にはMicrosoft 365 E5またはMicrosoft 365 E5 Complianceが必要

 Microsoft Purview情報保護とMicrosoft Purviewデータ損失保護は、「Microsoft 365 E5」ライセンスに含まれます。また、現在、「Enterprise Mobility+Security E3」「Office 365 E3」「Microsoft 365 E3」のライセンスを利用している場合は、「Microsoft 365 E5 Compliance」ライセンスを購入(1300円ユーザー/月:税別)することで利用できます。購入要件のライセンスを持っている場合は、90日の無料試用版にサインアップして試用することも可能です。

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2008 to 2023(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


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