Windows 11の新バージョン「22H2」から1カ月ほど遅れて、Windows 10の新バージョン「22H2」(Windows 10 2022 Update)の一般提供が開始されました。Windows 10 バージョン2004をベースとした、4回目のマイナーアップデートになります。
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2021年10月にリリースされた「Windows 11」は、「Windows 10」の「半期チャネル(Semi-Annual Channel、SAC)」とは異なり、機能更新プログラムが1年に1回の「一般提供チャネル(General Availability Channel)」のリリースサイクルで提供されます。
2022年9月に新バージョン「Windows 11 2022 Update(バージョン22H2、OSビルド10.0.22621)」がリリースされ、「Windows Update」「Windows Server Update Services(WSUS)」「Windows Update for Business」、ISOイメージのダウンロード提供などを通じて、一般提供が開始されました。
Windows 10についても、Windows 11の初期バージョンから1カ月遅れでリリースされた「Windows 10 November 2021 Update(バージョン21H2、OSビルド10.0.19044)」を最後に半期チャネルから1年に1回リリースの一般提供チャネルに移行しました。一般提供チャネルに移行後、初となる機能更新プログラムが「Windows 10 2022 Update(バージョン22H2、OSビルド10.0.19045)」として2022年10月19日(日本時間)にリリースされました(画面1)。
Windows 10 バージョン22H2の新機能については、リリース時点では何も情報が公開されていません。製品としてメインストリームではなくなったWindows 10の今後の機能更新プログラムは、一種のメンテナンスリリースのようなもので、新たなサービス期間に移行させるのが主な目的で、大きな新機能が追加されることはないと思われます。
MicrosoftはWindows 10 バージョン2004(OSビルド10.0.19041、「VB_RELEASE」とも呼ばれます)の大型アップデート以降、「有効化パッケージ(Enablement Package KB、EKB)」によるマイナーアップデートを繰り返してきました。各バージョンのOSビルドは、アップデートごとにインクリメントされてきました。
今回の機能更新プログラムもWindows UpdateやWSUSを通じてEKBで提供されます(画面2)。EKBは、現在サポートされているWindows 10 バージョン(VB_RELEASE)に対して、それまでの品質更新プログラムによって無効化された状態で既に提供されている新バージョンの新機能を有効化し、バージョン情報を切り替えるだけの小さなパッケージです。
そのため、大型アップデートのように巨大なインストールイメージのダウンロードとインストールは必要なく、通常の品質更新プログラムと同じようなエクスペリエンスで、短時間でアップデートできます。OSのコア部分はWindows 10 バージョン2004と共通のVB_RELEASEであるため、アプリケーションやハードウェアの互換性問題の影響も少ないと期待できます。
Windows 10 バージョン22H2のロールアウトは、これまでと同様、Windows Updateを通じて段階的に実施されます。WSUSの場合は、EKB形式の機能更新プログラムを承認することですぐに配布を開始できます。その際、「Windows 10、バージョン22H2」の「機能更新プログラム」(x64版のサイズは約3.7GB)ではなく、「有効化パッケージによる機能更新プログラム」(x64版のサイズはわずか32KB以下)を承認することで、EKB形式の配布が可能です(画面3)。
これに対して、Windows 10のダウンロードサイトからダウンロードしたメディアや「Windows 10 Update Assistant(Windows 10の更新アシスタント)」によるインストールは、通常の大型アップデートと同様、アップグレードインストールが行われることに注意してください。
現在サポートされているバージョンのWindows 10であれば、EKBの対象であり、Windows UpdateやWSUSでアップデートするのが最も簡単で、短時間で終了し、アップデートに伴うトラブルも少ないはずです。Windows Updateを利用している場合は、機能更新プログラムが利用可能になるまで待つか、自動配布されるのを待つことをお勧めします。
Windows 10 Home以外のエディションの場合は、「ローカルコンピューターポリシー(Gpedit.msc)」で以下のポリシーを設定することで、Windows Updateですぐに機能更新プログラムのダウンロードとインストールを始めることができます(画面4)。
Windows 10もWindows 11と同じ一般提供チャネルに移行しましたが、各バージョンのサポート期限に変更はなく、HomeおよびProエディションはリリース日から「18カ月」、EnterpriseおよびEducationエディションは「30カ月」提供されます(Windows 11の場合は、それぞれ24カ月、36カ月)。直近では、Windows 10 バージョン21H1の全エディションのサポート期限が「2022年12月13日」に迫っていることに注意してください(表1)。
バージョン | OSビルド | Home、Proのサポート期限 | Enterprise、Educationのサポート期限 |
---|---|---|---|
22H2 | 10.0.19045 | 2024年5月14日 | 2025年5月13日 |
21H2 | 10.0.19044 | 2023年6月13日 | 2024年6月11日 |
21H1 | 10.0.19043 | 2022年12月13日 | 2022年12月13日 |
20H2 | 10.0.19042 | サポート終了 | 2023年5月9日 |
20H1 | 10.0.19041 | サポート終了 | サポート終了 |
表1 Windows 10のサポート期限 |
また、「長期サービスチャネル(Long Term Servicing Channel、LTSC)」を除く、全てのWindows 10のサポートは「2025年10月14日」に終了することにも注意が必要です。後3年は現在のデバイスを使用できますが、それまでにWindows 11に移行(アップグレード、またはアップグレードできないハードウェアの場合はリプレース)する必要があります。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2008 to 2023(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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