Azure仮想マシンを評価やテスト目的で作成し、不定期に利用する場合、単に仮想マシンを置いておくだけでも課金コストがそれなりに発生します。未使用の時間が長いと、無視できない無駄なコストになりかねません。数日間、課金の様子を見て、何か対処しなければと思いました。
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ここ数カ月間、Microsoftのとある製品/サービスを評価、検証するため、Microsoft Azureの比較的高性能な仮想マシンシリーズで、大きなサイズ(16コアのvCPU数、64GBメモリ)と大きなデータディスク(Premium SSD 1TB)のWindows仮想マシンを1台利用することになりました。筆者の自宅のコンピューティング環境ではとても用意できない環境ですが、Azureなら大きなサイズでも数分で利用可能になるのが良いところです(画面1)。
Azure仮想マシンの作成後、数日間はゲストOSと評価環境を準備するために毎日半日程稼働させる必要がありました。毎日仮想マシンを起動して、作業し、作業が終わったら仮想マシンを停止して「割り当て解除」状態にするのを繰り返したのですが、その数日間は1日当たり2000円程度の課金が発生しました。
評価と検証用のWindows仮想マシンは、毎日起動するというわけではなく、数日間起動しないこともあります。起動しなかった日の課金を分析してみたところ、「割り当て解除」状態にしていても、毎日700円程度の課金が発生していました。その課金対象は、Azure仮想マシンに割り当てた「Premium SSD」(少しでも節約したいため、ローカル冗長ストレージ《LRS》です)のデータディスクでした。
そこでAzureの「料金計算ツール」で、あらためて使用中のWindows仮想マシンのコストを確認してみました(画面2)。
コンピューティング料金は1カ月当たり約17万5539円ですが、これは仮想マシンを「割り当て解除」状態にしておけば課金されません。「割り当て解除」状態にするのを忘れなければ、使っている間だけの課金で済みます。1日当たりに換算すると約5699円、1時間当たりでは約236円になります。
問題はマネージドディスクであるPremium SSDに対する課金です。マネージドディスクに対する課金は、実際のディスク使用量ではなく、“割り当て時に選択したサイズとパフォーマンス”に応じて発生します。OSディスク(Premium SSD 32GB)とデータディスク(Premium SSD 1TB)を合わせると、月額約2万2078円は“ディスクが存在するだけ”で課金されます。1日当たりに換算すると約712円であり、筆者が気にしていた実際の課金コストと整合性があります(画面3)。
仮に、OSディスクとデータディスクを同じサイズの「Standard HDD」にした場合は、月額約5809円に節約できます。1日当たりに換算すると約187円です(画面4)。
今回の評価と検証には、Premium SSDのI/Oパフォーマンスが不可欠なのですが、仮想マシンを使っていないときには関係のないことです。
Azure仮想マシンのOSディスクやデータディスクのサイズとパフォーマンスは、「割り当て解除」状態であれば、データを維持したまま簡単に変更することができます(縮小は不可)。データが失われないことは、過去に経験済みです。最近は、データディスク(ただし、Premium SSDまたはStandard SSDのみ)については「ライブ拡張」もサポートされましたが、今回の話には関係ありません。
そこで、Azure仮想マシンを「割り当て解除」した後、OSディスクとデータディスクをPremium SSD(LRS)からStandard HDD(LRS)に変更し、次回使用する際には、起動前にPremium SSD(LRS)に戻すという使い方にしました(画面5、画面6)。これで、未使用時の無駄な課金コストをできるだけ抑制できるはずです。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2008 to 2023(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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