Microsoftは2022年11月初め、「2024年9月30日」以降、オンプレミスに展開されたAzure Multi-Factor Authentication Serverが多要素認証(MFA)要求を処理しなくなることを発表しました。Active DirectoryやAzure ADにはどのような影響があるのでしょうか。
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「Azure Multi-Factor Authentication Server」(Azure MFA Server)は、オンプレミスのActive DirectoryドメインとAzure Active Directory(Azure AD)のハイブリッドID環境において、「Active Directoryフェデレーションサービス(AD FS)」と連携してユーザー認証やアプリケーション認証に電話やSMS、モバイルアプリ(Microsoft Authenticator)による多要素認証を可能にするサーバです。主に、「Windows Server 2012 R2」以前のActive Directoryドメイン/AD FS環境に、多要素認証を導入する際に必要とされました。
Microsoftは2019年7月1日にAzure MFA Serverの使用を「非推奨」とし、新規展開に対しては提供しなくなりました(画面1)。
Azure MFA Serverのインストーラーは「Microsoft Download Center」からまだ入手可能ですが、セットアップ時に必要となる「アクティブ化資格情報」を新たに入手する手段はありません。
現在、新たに多要素認証を導入したい場合は、クラウドベースの「Azure AD Multi-Factor Authentication」(Azure AD MFA)を使用する必要があります。「Windows Server 2016」以降のAD FSはAzure ADと直接統合されており、Azure MFA Serverを導入しなくても、プライマリー認証や追加の認証プロバイダーとしてAzure AD MFAを構成することができます。
Microsoftは現在、既に非推奨になっているAzure MFA Serverのサービスを「2024年9月30日」に停止することを発表しました。サービス停止以降、オンプレミスのAzure MFA Serverは多要素認証要求を処理できなくなり、認証が失敗することになります。
2019年7月1日以前、特にWindows Server 2012 R2以前のレガシーバージョンのWindows Server環境で多要素認証を導入した場合は、Azure MFA Serverが導入されている可能性があります。その場合は、2024年9月末のサービス停止期限までにクラウドベースのAzure AD MFAに移行する必要があります(画面2、画面3)。
「Windows Server 2012」とWindows Server 2012 R2は「2023年10月10日」に延長サポートが終了しますが、「拡張セキュリティ更新プログラム(Extended Security Update、ESU)」を利用することで、最大3年間(オンプレミスの場合は毎年購入、Azure仮想マシンでは無料)、重要なセキュリティ更新プログラムを受け取ることが可能です。
しかし、これらのWindows Server上で動作するAzure MFA Serverは、1年目のESUの期限(2024年10月8日)が来る前にサービスを停止することに注意してください。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2009 to 2022(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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