内製開発で先行する企業によるパネルディスカッションの内容を3回に分けてリポートする本連載。第1回は、内製化の理由、メリットや苦労、内製化をやり直すとしたらどうするかなどを話し合った部分をお届けする。
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DX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれる中で、これまでソフトウェア/サービス開発を外部パートナーにアウトソースしてきた企業が一転、内製化に舵(かじ)を切る動きが加速している。だが、内製化は開発部隊を社内に新設するだけでは終わらない。例えば十分なスキルセットを持った人材の採用やチームビルディング、組織内の指揮系統の整理、外注から内製へのマインドシフトや文化の醸成といった課題にも取り組む必要がある。
2022年10月開催の「Google Cloud Next '22」で行われたパネルディスカッション「DXルポライターが先行企業に訊く、内製開発のポイントと課題」では、DX最前線を取材するノンフィクションライターの酒井真弓氏をモデレーターに、内製化を進めるauコマース&ライフ、SOMPOシステムズ、Retail AI Xの3社が内製化の課題について率直に語った。
本連載では、このパネルディスカッションの内容を3回にわたってリポートする。第1回の今回は、内製化の理由、メリットや苦労、内製化をやり直すとしたらどうするかなどを話し合った部分をお届けする。
各社が内製化を始めたきっかけは、それぞれ異なる。ディスカウントストアの運営や商品開発などを手がけるトライアルカンパニーのグループ会社で、流通業DXを技術面で支えるRetail AI Xは、スタート時点から内製開発を採用していた。auコマース&ライフの場合は、2019年4月にKDDIコマースフォワードとルクサが合併した際に、消費者向けEコマースサービス「au Payマーケット」の前身となる総合ショッピングモール「Wowma!」の運営を内製化。そしてSOMPOシステムズは、トップダウンで委託から内製に移行したという。
「弊社は、親会社である損害保険ジャパンのためのシステム開発をパートナー企業に委託していた。だが、DXがビジネスにおける大命題となる中で、社員自らがプロジェクト管理だけでなく、開発に踏み込むべきとの大号令がかかり、内製開発にシフトした。現在は、各事業組織と連係しながらビジネスを開発に落とし込み、QCD(Quality、Cost、Delivery)をうまく回していくためのDX推進部門を立ち上げて、目標に向けて歩み始めたところだ」(SOMPOシステムズ 関谷雄太氏)
委託から内製に切り替えた点で共通するauコマース&ライフとSOMPOシステムズだが、内製化して良かったこと、苦労したこととして何があるのだろうか。
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