内製開発で先行する企業によるパネルディスカッションの内容を3回に分けてリポートする本連載。今回は最終回として、、開発のサイロ化、ブラックボックス化、ナレッジロストについて話し合われた部分をお届けする。
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パネルディスカッション「DX ルポライターが先行企業に訊く、内製開発のポイントと課題」の様子を紹介してきた本連載も、3回目となる本稿が最終回。今回は、開発のサイロ化、ブラックボックス化、ナレッジロストについて話し合われた部分をお届けする。
登壇者は前回に引き続き、DX最前線を取材するノンフィクションライターで同ディスカッションのモデレーターである酒井真弓氏、内製化を進めるauコマース&ライフの山田豊氏、SOMPOシステムズの関谷雄太氏、Retail AI Xの辻隆太郎氏の4名だ。
酒井氏は、内製化チームを作るためのポイントについて辻氏に質問した。
辻氏は、以前プロジェクト単位でチームがひも付けされており、技術的にサイロ化してしまう状態にあったと前置きし、サイロ化を回避しながら平準化を図るべく、「チームトポロジー」を取り入れたと述べた。
チームトポロジーは、より大きな価値を創出し、提供できるよう、チーム連携のサポート体制を組んでプロジェクトを回していく仕組みだ。チームは、価値の創造から顧客への提供までの流れ(バリューストリーム)に沿ってプロジェクトを推進する「ストリームアラインドチーム」、インフラや内部サービスを提供する「プラットフォームチーム」、チームの能力ギャップを埋める特定技術のスペシャリスト集団「イネイブリングチーム」、専門性が求められる部分の開発や保守を担当する「コンプリケイテッド・サブシステムチーム」の、4チーム。ストリームアラインドチームがより高いバリューを出していけるよう、他のチームがサポートする。
辻氏によると、チームトポロジーを採用したきっかけは、プロジェクトがサイロ化され、技術面で差異が生じ始めたことだったという。「チームトポロジーに基づき体制を整えることで、例えばフロントエンドの技術スタックを持っているメンバーのギルドや、バックエンドのサーバーサイドに関する知識を持つギルドの、どのギルドから誰をストリームアラインドチームにアサインしても、滞りなくバリューを出せる状態を目指した」(辻氏)
各チームは専任でアサインされるのではなく、例えばコンプリケイテッド・サブシステムチームでバックエンドの共通APIを開発しているメンバーがどこかのストリームアラインドチームにアサインされるなど、1人に複数のアサインメントが割り振られるイメージだと辻氏は説明する。
話題が一段落したところで、登壇者同士の質問タイムが始まった。
最初に質問したのは、auコマース&ライフの山田氏だ。質問の内容は、担当者が退職や人事異動などで業務から離れたとき、その業務内容やプロセスを周囲が把握しておらず、ブラックボックス化してしまう問題だ。
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