Microsoftは、リレーショナルデータベース管理システムの最新版「SQL Server 2022」の一般提供を開始した。「パフォーマンス、セキュリティ、可用性の革新を継続し、これまでで最もAzureに対応したSQL Server」とうたっている。
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Microsoftは2022年11月16日(米国時間)、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)の最新版「SQL Server 2022」の一般提供を開始したと発表した。「パフォーマンス、セキュリティ、可用性の革新を継続し、これまでで最もAzureに対応したSQL Server」とうたっている。
MicrosoftはSQL Server 2022を、業務データベース、分析、データガバナンスをシームレスに統合する「Microsoft Intelligent Data Platform」の中核要素と位置付けている。
SQL Server 2022は、「Microsoft Azure」との接続により、業務データの準リアルタイム分析を可能にする「Azure Synapse Link for SQL」や、統合データガバナンスサービス「Microsoft Purview」などの機能を利用して、企業がデータに基づく深い洞察、予測、ガバナンスを大規模に推進することを容易にする。
また、こうしたAzureとの統合により、フルマネージドのクラウドデータベースサービス「Azure SQL Managed Instance」へのマネージドディザスタリカバリー(DR)なども可能になり、データベース管理者はより柔軟に、かつエンドユーザーへの影響を最小限に抑えながら、データ資産を管理できる。
さらに、SQL Server 2022では、組み込みのクエリ機能の強化などにより、パフォーマンスが向上している。セキュリティに関しても、過去10年間、最も脆弱(ぜいじゃく)性の少なかったデータベースであるSQL Serverの実績を基に、「Ledger for SQL Server」が導入され、ブロックチェーンを用いてデータベースへの全ての変更日時を、改ざんできない形で記録できるようになった。
SQL Server 2022は無料エディション(Developer、Express)と有料エディション(Enterprise、Standard)がある。DeveloperおよびExpressエディションは、2022年11月16日からダウンロード可能になった。EnterpriseおよびStandardエディションは、ボリュームライセンス契約(エンタープライズアグリーメント、エンタープライズアグリーメントサブスクリプション)を結んでいる顧客(SQL Serverの顧客の大部分を占める)が2022年11月16日から利用できるようになった。CSP、OEM、SPLAで購入する顧客は、2023年1月からSQL Server 2022を購入できる。
Microsoftは、SQL Server 2022の主な特徴を「Azureに対応した機能」と「コアエンジンの継続的な革新」に分類して紹介している。
SQL Server 2022は、アップタイムの確保を目的に、Azure SQL Managed Instanceの新しいリンク機能と完全に統合されている。この機能により、DRにおいてPaaS環境の恩恵を享受でき、IaaS環境と比べて、セットアップと管理に費やす時間を短縮できる。
このリンク機能をスケールアウトシナリオに適用し、DRに使用するSQLインスタンスに重いリクエストをオフロードすることも可能だ。
これまで、SQL Serverなどのオンプレミスデータベースから、「Azure Synapse Analytics」にデータを移動するには、「抽出、変換、ロード」(ETL)を使用する必要があった。Azure Synapse Analyticsは、データ統合、エンタープライズデータウェアハウス、ビッグデータ分析といった機能を統合した分析サービスだ。このETLパイプラインの構成と実行には時間がかかり、洞察を得るのが遅れることが多かった。
Azure Synapse Link for SQLは、SQL Server内の変更を取り込み、Azure Synapse Analyticsに送り込む自動変更フィードを提供する。これにより、業務システムへの影響を最小限に抑えながら、準リアルタイムの分析と、トランザクションおよび分析のハイブリッド処理を実現する。
Microsoft Purviewは、データガバナンスと管理の統合サービスだ。SQL ServerはMicrosoft Purviewと統合され、データディスカバリの改善やデータサイロの打破が可能になった。
SQL Server 2022では、以下のような新機能により、パフォーマンスが強化された。
このため、パフォーマンスが向上するとともに、ソースT-SQLを変更することなく、問題を迅速に緩和できるようになった。
例えば、パラメーターに依存するプランの最適化機能が導入され、単一のパラメーター化されたステートメントに対して、複数のアクティブなキャッシュされた実行プランの生成が自動的に有効化されるようになった。これらのキャッシュされた実行プランが、提供された実行時パラメーター値に基づいて、異なるデータサイズに対応する。
ブロックチェーンを用いてデータの変更を時系列で記録するLedger for SQL Server機能が追加された。この記録は、データが改ざんされていないことを暗号学的に証明できるようになっている。この機能は、内部監査や外部監査などのシナリオに役立つ。
包含可用性グループを作成、利用できるようになった。これは、インスタンスレベルだけでなく、可用性グループレベルでも独自のメタデータオブジェクト(ユーザー、ログイン、権限)を管理するAlways On可用性グループだ。
また、複数の拠点にユーザーがいる場合にマルチライト環境が円滑に稼働するように、コンフリクトが検出されたら、最新の修正時刻を選択し、全てのレプリカに永続化させるルールが自動化された。
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