今日の気分を“スコアリング”できたらいいのにGo AbekawaのGo Global!〜Aaron Bramson(後)(1/3 ページ)

グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。前回に引き続き、GAテクノロジーズのAaron Bramson(アーロン・ブラムソン)さんにお話を伺う。同氏が語る「サイエンス」と「エンジニアリング」との違いとは。

» 2023年01月06日 05時00分 公開

 国境を越えて活躍するエンジニアにお話を伺う「Go Global!」シリーズ。今回も、ネット不動産マーケットプレイス「RENOSY(リノシー)」でおなじみのGA technologies(GAテクノロジーズ)で、サイエンティストとして活躍するAaron Bramson(アーロン・ブラムソン)さんにお話を伺う。日本の理化学研究所(以下、理研)、ベルギーのゲント大学、そして米国と、世界を股にかけて活動する同氏が「自転車で回れる範囲の便利さ」にこだわる理由とは。聞き手は、アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広。

世界を股にかけるアーロンさん

阿部川“Go”久広(以降、阿部川) 大学院の後、「Complexity Research」を設立されます。

Aaron Bramson(アーロン・ブラムソン、以降、アーロンさん) はい。設立したのは大学院を修了する直前です。当時はコンサルティングの仕事もしていて、ある米国企業から私が開発した技術に関してワークショップを開催してほしいという依頼がありました。「個人としてなら講師料は1000ドル、でも企業として契約したら1万ドル払う」と言われました。

 それを聞いてすぐに会社を設立しました(笑)。米国では60ドルあれば会社が設立できますので。これが会社設立の理由です。もちろんその後は、法人である利点を生かしながら、多くのワークショップをシンガポールや理研で実施してきました。


編集中村 編集 中村

 すでに地下足袋の会社を設立していたアーロンさんにとって、もう1つ会社を立ち上げるなんて朝飯前だったのでしょう。しかしなんといいますか、大学に行きつつ、各国を回りながら、会社も経営しながら、さらに別の会社も立ち上げるなんて。どうすればこれほどの行動力が手に入るのか、不思議でなりません。


阿部川 そういえば、なぜ理研で仕事をするようになったのですか。

アーロンさん シンガポールでワークショップをしたときに理研の方と縁ができたのです。私が地下足袋を履いていたので、「日本と何か関係があるのだろう」と察して声を掛けてくれました。話をするうちにお互いに共通する調査や研究の話題になり、まずは夏の間の3カ月だけ契約しました。それがうまく進み、正式に理研の研究員として仕事をするようになりました。

阿部川 同時期にベルギーのゲント大学で研究員もされていたのですね。

アーロンさん そうです。こちらも理研の場合と同様に、ベルギーでワークショップを開催していたときにゲント大学の方が出席していて、「一度大学にいらしてください」となり、教授陣とお話ししました。2カ月のプログラムを一緒に実施することになり、理研の仕事と同時に研究をすることになりました。ですから当時は、米国と日本とベルギーを順番に巡るという仕事の仕方をしていました。

阿部川 それぞれ興味のある研究ができて楽しかったでしょう。

画像 阿部川“Go”久広

アーロンさん YesとNoの両方です(笑)。仕事でいろいろな土地に行けることを、人はどうしてもロマンチックなものと捉えます。今まで見たことがないものを見たり、おいしい食事をしたり。ただそれらは、とても「面倒(日本語で)」で、私が一番苦手なことなのです。

阿部川 なるほど(笑)。

アーロンさん 知らない土地に行って、知らないものを食べて、知らない言葉を使って。全てをテキパキとうまくやらないといけないと思うと苦手意識が出てしまいます。要するに私は旅行が下手なのでしょう。外に行って知らないものを食べるよりも、ホテルの部屋で1日中過ごす方がいいと感じます。

 理研からGAテクノロジーズに転職した理由の一つは、出張が嫌だったからです。東京の家にいて仕事をするのが好きです。コロナ禍の前からずっとです(笑)。ある程度の都市――東京やニューヨークなどであれば共通点も多いので変わりなく生活できますしね。ゲント大学の近くの街も、大学はもちろん、雑貨屋さんなど全てが自転車で回れるところにあり、とても便利でした。ただしベルギーの冬は、6カ月におよぶ雨と雪で自転車愛好者にはとても憂鬱(ゆううつ)です。米国のミシガン州も同じですね。東京がいいのは、夏は暑く冬は寒いけれど、サイクリングができないほどではないことです。

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