Microsoftはコンテナストレージサービス「Azure Container Storage」のパブリックプレビューを公開した。Kubernetesのストレージ活用における課題を解決するという。
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Microsoftは2023年5月15日(米国時間)、「Azure Container Storage」のパブリックプレビューを公開した。
Azure Container Storageは、コンテナ用に構築されたクラウドベースのボリューム管理、デプロイ、オーケストレーションのマネージドサービス。Kubernetes用のコンテナストレージ機能を提供するオープンソースソフトウェア(OSS)、「OpenEBS」から派生している。Kubernetesと統合されているので、ユーザーは、Kubernetesクラスタで実行されているステートフルアプリケーションのデータを格納するために、永続ボリュームを動的かつ自動的にプロビジョニングできる。
Kubernetes上で実行されるステートフルアプリケーションが成長するにつれて、ユーザーはストレージオファリングの特定、CSI(Container Storage Interface)ドライバの特定、ボリューム処理の違いの解読、環境内での構成の複雑さをクラスタ、アプリケーション、ワークロードごとに繰り返す必要があるという課題があった。Azure Container Storageは、Azureの複数のブロックストレージオファリングに対してCSI構造を拡張し、一貫したボリューム管理を提供する。
Azure Container Storageでは、「Azure Kubernetes Service」(AKS)クラスタの単一の統合ストレージリソースとして提供される、ストレージリソースのグループが導入される。ストレージプールは、揮発性ディスク、「Azureディスク」「Azure Elastic SAN」(プレビュー)などの抽象化されたストレージレイヤーを提供する。これによってワークロードのニーズに最適なストレージを活用できるという。
Azure Container Storageでは、ストレージプール内に永続ボリュームを作成して、アプリケーションデータを保存できる。永続ボリュームはコンテナポッドのライフサイクルと密接に関係しているが、コンテナが終了または再作成された場合でもデータを保持できる耐久性を備えている。
AKSユーザーは、永続ボリュームごとにAzureディスクをデプロイし、IOPS、MBps、PV当たりの容量をプロビジョニングし、管理しているが、Azure Container Storageによって、ユーザーはストレージプールのプロパティを動的に指定できる。プール内の永続ボリューム全体に割り当てられて共有されるので、総所有コスト(TCO)が最適化され、アプリケーションコンテナ全体のパフォーマンスが最大化されるという。
コンテナのライフサイクルに沿ってストレージの迅速なスケールアウトとフェイルオーバを提供することで、継続的な運用オーバーヘッドを削減し、ステートレスアプリケーションがKubernetesで享受するのと同じ稼働時間の利点をステートフルアプリケーションに提供する。
Azure Container Storageは、ネットワークブロックストレージプロトコル(NVMe-oFまたはiSCSI)経由で永続ボリュームをマウントし、永続ボリュームのアタッチとデタッチを高速化する。小規模から始めて、初期化中または運用中にアプリケーションでリソースが不足したり、動作が中断したりしないことを確認しながら、必要に応じてリソースをデプロイできる。
クラスタ全体でポッドが再生成されるので、永続ボリュームの迅速な移動が必要になり、アプリケーションの回復性が重要になる。Azure Container Storageは、リモートネットワークプロトコルを利用することで、ポッドのライフサイクルと密接に結び付き、回復性と拡張性が高いステートフルアプリケーションをAKS上でサポートする。
kubectlコマンドを使用して、さまざまなコントロールプレーン操作用のツールセットを切り替えることなく、ストレージプールと永続ボリュームを作成し、スナップショットをキャプチャーしてボリュームのライフサイクル全体を管理する。
Azure Container Storageは、プレビュー時は次のAzureリージョンのみで使用できる。
Azure Container Storageの価格は、使用する基盤となるストレージのコストと、Azure Container Storageのサービス料金という2つの要素で構成される。プレビュー期間中、Azure Container Storageは、デプロイされた任意のサイズのコンテナストレージプールに対して無料で提供され、サービス料金は発生せず、消費された基盤となるストレージリソースに対してのみ料金が発生する。
一般提供時には、容量が5Ti(テビ)B未満のストレージプールを展開する場合、サービス料金はかからない。5TiBを超えるデプロイの場合、5TiBを超える追加プロビジョニング容量については、Gi(ギビ)Bごとに月額0.006ドルの料金がかかる(価格は米国東部に基づく)。価格の詳細については、「Azure Container Storageの価格」を参照。
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