Microsoft UpdateカタログからWSUSへの更新プログラムのインポートが新方式に変更、その手順を詳細解説企業ユーザーに贈るWindows 11への乗り換え案内(18)

Windows Server Update Services(WSUS)では、毎月のセキュリティ更新プログラム(Bリリース)など、重要な更新プログラムが同期対象になりますが、オプションの更新プログラム(Cリリース)は対象外です。対象外であっても、Microsoft Updateカタログから更新プログラムを手動でインポートすることで、WSUSによる配布が可能になります。そのインポート方法が2023年7月末に変更されました。

» 2023年08月08日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]

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企業ユーザーに贈るWindows 11への乗り換え案内

IE依存の旧インポート方式からようやく解放、今後はPowerShellベースに

 これまでの「Windows Server Update Services(WSUS)」への更新プログラムのインポート機能は、「Internet Explorer(IE)」に依存していました。それは、インポート機能が「ActiveXコントロール」というレガシーな技術で実装されていたからです。

 「Windows 10」「Windows 11」におけるIEのサポートは「2022年6月15日」に終了し、既に利用できなくなっています。Windows Serverでは現在も利用可能ですが、「Windows Server 2022」からはモダンブラウザである「Microsoft Edge」が既定のブラウザに変更されています。

 そのため、WSUSのインポート機能を利用するには、以下の連載記事で説明したように、Windows ServerでIEを「既定のブラウザ」として設定するか、Microsoft Edgeを既定のブラウザに設定して「Microsoft Updateカタログ」サイトをMicrosoft Edgeの「IEモード」で開くようにする必要がありました。

 現在、この従来方法は使用されなくなりました。Microsoftは2023年7月25日(米国時間)から、WSUSのインポート機能を従来のIE(ActiveXコントロール)依存のものから、PowerShellベースに切り替えたのです。

PowerShellベースになった新インポート方式の実行手順

 WSUSの「Update Services」スナップインで「操作」ペインの「更新のインポート」をクリックすると、従来は既定のブラウザでMicrosoft Updateカタログサイトが開きましたが、2023年7月25日以降は「WSUSとカタログサイト」にあるPowerShellスクリプトのページにリダイレクトされるようになりました。

 ただし、2023年7月末時点では日本語環境でリダイレクトされる日本語サイトは情報が古く、PowerShellスクリプト(およびそこに飛ぶアンカーリンク)が存在しません。日本語サイトの情報が更新されるまでは、以下のURLに切り替えてください(画面1)。

画面1 画面1 WSUSの「Update Services」スナップインで「操作」ペインの「更新のインポート」をクリックすると、インポート用PowerShellスクリプトのページにリダイレクトされる。ただし、2023年7月末時点で日本語サイトはまだ更新されていない

 PowerShellスクリプトの「Copy」をクリックして、スクリプトの内容をクリップボードにコピーしたら、「メモ帳」などのテキストエディタに貼り付け、ANSI形式を選択し、ファイル名「ImportUpdateToWSUS.ps1」として任意の場所に保存します(画面2)。同ページには「ImportUpdatesIntoWSUS.ps1」というファイル名も記載されていますが、これはドキュメントのミスです。

画面2 画面2 PowerShellスクリプトを「ImportUpdateToWSUS.ps1」というファイル名で保存する

 次に、WebブラウザでMicrosoft Updateカタログ(https://catalog.update.microsoft.com)を開き、KB番号などをキーワードに目的の更新プログラムを検索します。更新プログラムが見つかったら、更新プログラムのタイトル部分のリンクをクリックして「更新プログラムの詳細」を開き、「UpdateID」を控えます(画面3)。

画面3 画面3 Microsoft Updateカタログで目的の更新プログラムの「UpdateID」を見つける

 最後にPowerShellウィンドウを開き、以下のコマンドラインを実行して、更新プログラムをインポートします。インポートが成功したら、「Update Services」スナップインの「更新プログラム」で更新プログラムが一覧に追加されたことを確認します(画面4)。

.\ImportUpdateToWSUS.ps1 -UpdateId <更新プログラムのUpdateID>
画面4 画面4 「ImportUpdateToWSUS.ps1」スクリプトを実行して、単一の更新プログラムをインポートする

 上記コマンドラインは、WSUSサーバ上で単一の更新プログラムをインポートする場合のものです。複数の更新プログラムを一括インポートする場合は、「UpdateIDs.txt」(ファイル名は任意)に1行につき1つの「UpdateID」を記述して保存し、以下の例のように実行します(≪画面5>)。

.\ImportUpdateToWSUS.ps1 -UpdateIdFilePath .\UpdateIDs.txt
画面5 画面5 「ImportUpdateToWSUS.ps1」スクリプトを実行して、複数の更新プログラムを一括でインポートする

 コマンドラインは、WSUSサーバとは別のリモートコンピュータから実行することも可能です。その場合は、以下のコマンド実行例のように、WSUSサーバのFQDN(またはIPアドレス)やWSUSのポート番号などを指定して、単一または複数の更新プログラムをインポートします。

【単一の更新プログラムをインポートする場合】
.\ImportUpdateToWSUS.ps1 -WsusServer WSUSServer.contoso.com -PortNumber 8531 -UseSsl -UpdateId <更新プログラムのUpdateID>
【複数の更新プログラムを一括でインポートする場合】
.\ImportUpdateToWSUS.ps1 -WsusServer WSUSServer.contoso.com -PortNumber 8531 -UseSsl -UpdateIdFilePath C:\temp\UpdateIDs.txt

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2008 to 2024(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


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