少子高齢化が進む中、「介護や看護における人手不足や業務負担をどう解消するか」は大きな課題だ。この課題を解決するため、ローコード/ノーコード開発ツールを使った大規模な業務改善を行ったのが学研ココファングループだ。同社はどのように改革を進めたのか。
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DX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が叫ばれて久しいが、デジタル人材の不足と、それに伴う現場の負担増加など「そこまで手が回らない」という企業は多いだろう。ただ、黙っていても状況は悪くなるばかりだ。少しずつでも、確実に前に足を踏み出す必要がある。
そこで課題になるのが「既存業務をどうデジタル化するか」だ。多くの企業では長年にわたって“ベテランのシステム”が稼働しており、業務改革を阻害する要因となっている。全てを刷新できるならいいが、これもまた「人材もスキルも時間も足りない」というのが本音だろう。
ではどうすればいいのか。2023年7月に開催されたドリーム・アーツ主催のオンラインイベント「デジタル民主化DAY」のセッションから、その答えを探る。
学研ココファンの佐藤啓介氏(IT推進部 副部長 ITサービス課 課長)は、学研ココファングループの取り組みについて次のように説明している。
「日本の高齢者化率は上昇していますが、総人口は減少傾向となっており、介護などの働き手が常に不足している状況です。学研ココファングループは、高齢者事業、子育て支援事業、訪問看護事業、アカデミー事業の4つの事業を展開しており、そういった影響を強く受けます。そのため、ITの導入や活用促進によって業務効率を高め、介護職員の負担を軽減するなどの施策を推進することが急務となっています」
同社は以前からITを用いた業務改善は進めており、グループウェアのワークフロー機能などを使って業務のデジタル化を進めていた。ただ、「業務効率化を考えるとまだまだ不十分だった」という。
学研ココファンが直面していた課題は主に2つ。1つは「機能不足のグループウェア」、もう1つはデータ活用しにくい紙や「Microsoft Excel」(以下、Excel)を使った「紙、Excel業務」だ。
業務のデジタル化には取り組んでいたものの、機能が不足しており、情報共有しにくく、業務の効率化という観点では不十分だった。
「既存のグループウェアでは、それぞれが関連し合う申請であってもアプリを分けなければなりませんでした。そのため、複数の申請が必要な手続きがスムーズに進められないことが課題になっていました。他にも『申請ステータスの表現方法が少なく業務の進捗(しんちょく)が見えづらい』『データベース機能が弱くデータ活用のための蓄積や参照ができない』といった課題がありました」
使いやすさ以外にも課題はあった。10年以上前のシステムだからなのかAPI機能が未成熟で、基幹システムとの連携は手作業で実施しなければならなかった。そのため、組織改正でアカウント情報を更新するときには他システムのメンテナンスも必要で、多くの時間を費やしていた。
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