IT業界で働く人が知っておきたい日本国内のAI原則やガイドラインなどを紹介する。
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「ChatGPT」をはじめとした生成AI(人工知能)の利用が広がる中、AI開発や利用に関する法的な論点に注目が集まっている。本稿では、IT業界で働く人が知っておきたい日本国内のAI原則やガイドラインなどをまとめた。それぞれに所轄官公庁などの情報提供ページへのリンクを記載しているので、詳しく知りたい方は確認してほしい。海外のAI原則やガイドラインなどをまとめた「海外編」も後日公開予定なのでそちらもあわせてチェックしてほしい。
「AIの適切で積極的な社会実装を推進するため」各ステークホルダー(国、行政組織、開発者、事業者)が留意すべき原則として、「人間中心の原則」「教育・リテラシーの原則」「プライバシー確保の原則」「セキュリティ確保の原則」「公正競争確保の原則」「公平性、説明責任および透明性の原則」「イノベーションの原則」の7つを挙げている。
内閣府では2019年に公表されたこの原則以降、2019年、2021年に「AI戦略」を公表している。AI戦略では、国全体としてAIをどのように開発・利用するかといった戦略を主に記載している。
日本におけるAIガバナンスの在り方について経済産業省がまとめたガイドライン。2021年時点におけるAIガバナンスに関する国内外の動向やAI原則とガイドラインの関係性などについてまとめられている。
上述の「人間中心のAI社会原則」で示されている原則を実践するためにどうすべきかを例示したガイドライン。「AIシステムの開発・運用などに関わる事業者の取引などで広く参照されることや、AI原則の実践に関するステークホルダーの共通認識の形成を通じて、各社の自主的な取り組みを後押しすること」を目的としている。
「AI原則実践のためのガバナンス・ガイドラインVer.1.1」(経済産業省)
AI、データを利用した契約の全関係者を対象としたガイドライン。「データ編」と「AI編」に分かれており、データ編ではデータ流通と利活用に関わる契約を「データ提供型」「データ創出型」「データ共用型(プラットフォーム型)」の3つに分けて解説。データ契約を検討する際に必要な法的な基礎知識や主な契約条項の例などが網羅されている。AI編では、大企業から中小企業までの全ての企業を契約者として想定し、AI技術を利用したソフトウェア開発契約やAI技術の利用契約などについて解説している。
AI・データの利用に関する契約ガイドライン データ編(経済産業省)
AI・データの利用に関する契約ガイドライン AI編(経済産業省)
機械学習の開発、利用に関わる関係者が機械学習の品質に関する基準と達成目標を定められるよう、品質を「利用時品質」「外部品質」「内部品質」の3点に整理、解説している。
2018年に総務省管轄の会議体が発表した「AI利活用原則案」を基にしてそれぞれの原則についての解説がまとめられている。このガイドラインが対象としているのは「AI利用者」だが、AI利用者のことを「AIサービスなどを他者に提供する者(AIサービスプロバイダー)や業としてAIシステムなどを利用する者(ビジネス利用者)」であるとしているため、AI開発者などにも関わる内容といえる。
自動運転車が満たすべき基本的な考え方を示したガイドライン。国土交通省によると、「世界で初めて、自動運転の実現に当たっての安全目標を設定し、自動運転車の開発、実用化の意義を明確化したもの」だという。「運行設計領域の設定」「自動運転システムの安全性」など10項目の自動運転車が満たすべき車両安全要件を定めている。
農業分野におけるビッグデータやAI活用に関して必要な契約の考え方やひな型などを提示したガイドライン。農林水産省の補助事業など利用して、スマート農機、農業ロボットなどを導入する際にソフトウェアの利用契約をこのガイドラインに準拠させることが要件となっている。
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