インフラ管理において重要だが、手間のかかる作業が、プログラミング言語やライブラリなどのバージョンアップ作業だ。しかし、後回しにしているとビジネスに直接影響する事件が発生するかもしれない。本稿は「Cloud Operator Days Tokyo 2023」のセミナーから、そんな“しくじり”を起こしかけた事例を、解決策とともに紹介する。
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ネットショップ作成サービスを提供するBASE。そこでWebアプリケーションエンジニアとして働く大津和槻氏は、「Cloud Operator Days Tokyo 2023」のセミナーで、「AWS Lambdaから始めるDevチームの小さなDevOps改善」と題し、運用における「しくじり話」と改善策について話をした。
同社はネットショップの作成を支援するサービス「BASE」を提供している。ネットショップの作成と運営に必要なさまざまな機能を持っており、商品、注文管理、ショップデザイン、顧客情報管理などショップを開く側(ショップオーナー向け)と、商品検索、決裁、注文機能などショップを利用する側(カスタマー向け)に分かれている。本稿で取り上げるのはショップオーナー向けの「BASE Apps」という拡張機能だ。
「これは、ショップ運営に必要な機能とは別に、ショップオーナーが自身のショップに必要な機能だけを選択して利用できる拡張機能だ。例えばクーポン発行や抽選販売、広告効果測定、外部サービス連携といった機能を追加できる。問題になったのは『Google商品連携・広告 App』という拡張機能だ」
Google商品連携・広告 Appを使えば、Googleショッピング広告の一種であるキャンペーンを簡単に出稿できる。大まかに「Webサーバ」「データベース」「ログ収集サーバ」という構成になっている。なお、Webサーバは「PHP」やGoogleの公式ライブラリが使われており、Googleショッピング広告の関連サービスである「Google広告」「Google Merchant Center」などにAPIで簡単にアクセスできるようになっている。2021年10月にリリースし、集客と販路拡大に大きく貢献しているという。
“しくじり”が見つかったのは、このAPIのバージョンアップに関することだ。
APIに限らず、ソフトウェアの新しいバージョンが提供されたら、できるだけ速やかにバージョンアップするのが理想的だ。ただ、実際には影響範囲や「サービスをいつからいつまで中断するか」といった確認や調整などがあるため、いつかはやらなければと思いつつ、後回しになってしまっているケースも多いだろう。
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