阿部川 カナダやフィリピン、米国、そして日本でさまざまな経験を得たのですね。そして現在はSansanです。
ジェイさん これも縁でしょうか。以前の同僚がSansanでコンサルタントをしていました。彼から「日本の企業がフィリピンでビジネスをしたいと思っている」という話を聞きました。それがSansanだと聞いてびっくりしました。日本にいたときから、名前を知っている企業でしたから。
日本から部長が5人、セブに視察にやってきました。少しカジュアルな感じの訪問で、オフィスの候補を見て回りました。私は同行してガイドをしていたのですが、途中でカフェに寄ったときに、一人が日本語で「ジェイ、どう?」って聞いてきたのです。そこでこの視察のもう1つの目的が面談だったということに気付きました。5人の部長を前にして、ノーは言えません(笑)。
もちろん、5人の部長が来たから、ということではありません。Sansanのサービスに大変興味がありましたし、企業としてもサステナビリティへの価値の置き方や、気候変動への取り組みなどに大変共感していました。だからオーケーしたんです。
やぼかもしれませんが、仮に部長が1人だけでも、なんならもっと下の役職の人が来てお願いしていたとしてもジェイさんはOKしていたと思うんですよね。自分に期待されている、挑戦にはなるけれど、期待に精いっぱい応えたい。そう思ったのではないでしょうか。一昔前、「ノーとは言えない日本人」なんて日本人の受け身な気質をやゆする表現がありましたが、ジェイさんの場合はきっと「ノーとは言わない」のでしょうね。
阿部川 でも5人も部長が来たらびっくりしますよね(笑)。それだけ期待されていたということでしょう。そして2023年1月に、Sansanに入社されます。海外開発拠点設立準備室の副室長(2023年5月当時)とありますが、これはセブだけではなく、他のアジアの地域にもビジネスを拡張するということですよね。
ジェイさん その通りです。Sansanは10年以上前から、海外展開をしていますが、グローバル市場での需要に対応するためには、より強い開発拠点と開発チームがフィリピンに必要だと考えたのです。
阿部川 なぜフィリピンなのでしょう。
ジェイさん フィリピンには大変多くのITエンジニアがいます。加えて、皆バイリンガルで基本的に英語が話せます。エンジニアリングに対する技術的なスキルセットの水準も、非常に高いと思います。そして何より、日本から距離的に近いので、行き来がしやすい。最後の理由は、私がいることですかね(笑)
阿部川 なるほど(笑)。現在はどのようなお仕事をされているのですか。
ジェイさん (2023年5月当時)法的には会社の設立から3カ月程度ですから、会社運営の細かい部分で整えなければならない点は多々あります。メンバーの採用活動、政府への登記などの各種登録、経理、財務、給与などのバックオフィス機能なども順次整備しています。
特に採用は重要で、2024年中に100人のエンジニアを雇用する計画があるので、今、大忙しです。ただ、それは「100人のエンジニアに就労の機会を提供できる」ということですから、そのような機会に恵まれたことをとてもうれしく感じています。
阿部川 起業家精神にあふれた人にとってはとても素晴らしい機会ですね。大企業となってもそのような機会を提供できることがSansanの強みなのでしょう。
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