IDCは、デジタルビジネス戦略に関する10大予測を発表した。イノベーションに向けた生成AIの活用や、デジタルビジネスのあらゆる領域に生成AIを活用していく「AI Everywhere」が広まると予測している。
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IDCは2023年11月29日(米国時間)、「IDC FutureScape:Worldwide Digital Business Strategies 2024 Predictions」を発表した。今後1〜2年の間に世界のビジネスエコシステムに変化をもたらす外部要因に焦点を当てたレポートであり、技術、IT部門がデジタル主導の世界で繁栄するために必要なテクノロジーを定義し、構築し、管理する際に直面する課題が紹介されている。
DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する企業は、業務をデジタル化してコストを削減し、効率を向上させるだけでなく、新たなデジタル収益源を模索している。そうした企業にとって次なる目標がデジタルビジネス、すなわちプロセス、製品、サービス、エクスペリエンスで使用するテクノロジーの使用に基づいて価値創造が行われるビジネスだと、IDCは指摘している。
IDCのワールドワイドDB戦略担当リサーチディレクターのクレイグ・パワーズ氏は「DXは最初のステップにすぎない。変化から真の価値を得るには、企業自体がイノベーションの段階に移行する必要がある。IDCは2024年までに多くの企業がイノベーション能力を向上させると予測しており、競争力を維持したい企業はイノベーションを成し遂げる能力と文化を構築しなければならない」と述べている。
IDCが発表した、デジタルビジネス戦略に関する10大予測は次の通り。
市場機会を特定し、企業リソースを割り当て、デジタル製品とサービスを共同開発するために生成AI(人工知能)が使用される。生成AIを活用する企業は、より効率的かつ効果的に新たな収益を生み出す取り組みを展開し、より速いペースでの成長を達成する。
市場の需要から、企業はデジタルビジネスモデルの成長とデジタル機能の強化を迫られている。2024年にデジタルテクノロジーへの支出は、経済全体の7倍のスピードで増加すると予想される。
IDC調査ではCIO(最高情報責任者)の半数強が、組織内にAIを担当する責任者がいる、または置く予定であると回答している。また、CIOの約半数は、その責任者が経営幹部の一員となると考えている。
デジタルネイティブ企業は破壊的なビジネスモデルをサポートし、競争力を生み出すためにテクノロジーに依存している。これらの企業は生成AIを早期に導入し、競争上の優位性をさらに高めるために多額の投資をすることになる。
デジタルビジネスプラットフォームを導入することで、企業運営の可視性が向上し、投資の影響についてより深い洞察が可能になる。ビジネスがデジタル的に成熟するにつれ、ROI(投資収益率)の測定も一層簡単になり、デジタル収益イニシアチブの成功を促進できる最先端の機能を構築する可能性が高い。
IDCは予測的なAI、機械ビジョン、生成AIの機能など、異なるAI技術の組み合わせが新しいデジタルビジネスモデルを強化し、デジタルエコシステムを通じてオンデマンドのサービス提供が拡大すると予想している。AI Everywhere(あらゆる場所や領域で広く活用されるAI)の魅力を理解する顧客層に向けて、新しい製品やサービスが生み出される。
戦略的な意思決定にとってはビジネスに真に関連するものを追跡することが重要になる。デジタル製品、サービス、エクスペリエンスの創造と提供への移行を反映した新しい重要業績評価指標(KPI)が導入されることになる。
企業の技術責任者は、デジタル製品、サービス、エクスペリエンスを通じて、より良いビジネス成果を提供し、ビジネスの俊敏性を高め、新たな収益をもたらすことがこれまで以上に期待される。デジタル製品、サービス、エクスペリエンスを通じて新たな収益をもたらすことに重点を置くことになる。
AIの大規模な導入は、ワークフロー全体と学習プロセスに影響を及ぼす。マイナスの影響を軽減し、導入を促進するには、従業員が生成AIと協力して働くためのリスキリングに取り組む必要がある。
サステナブルな目標を達成するために、企業は経営幹部と技術責任者双方に、持続可能性を考慮しながらデジタル目標を達成するという2つの観点から、デジタルテクノロジーへの投資を求めるだろう。
パワーズ氏は「生成AIによって強化されたデジタルビジネスへの投資は、今後も新しいモデルと前向きな成果を推進し続けるだろう。すでにデジタルビジネスへの取り組みを始めている企業はその価値を認識しており、今後も投資と革新を続けるだろう。遅れた企業は今後5年間で大幅な市場シェアを失うリスクがある」と述べている。
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