「AIブームは収まるが、業務にAIを取り入れる流れは加速」――2024年のIT業界はどうなる?キーワードはAI、サイバーセキュリティ、ガバナンスなど

非営利IT業界団体CompTIAは、2024年にIT業界とITワーカーに影響を与えると予想される10のトレンドについて考察したレポート「IT Industry Outlook 2024」を発表した。

» 2023年12月19日 08時00分 公開
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 非営利IT業界団体CompTIAは2023年12月13日(米国時間)、2024年にIT業界とITワーカーに影響を与えると予想される10のトレンドについて考察したレポート「IT Industry Outlook 2024」を発表した。

 CompTIAは、規格標準化の提言、リサーチ、CompTIA認定資格の認定などを行っている。

 この10のトレンドは、技術進化の現在進行形のストーリーを形作るものであり、CompTIAはこれらのトレンドについて、IT業界、職場、社会の戦略的/戦術的側面から考察している。この考察は、2023年10月に行われた米国のIT担当者とIT業界関係者に対するオンライン調査(回答者:513人)の結果を踏まえて行われている。

 レポートの概要は以下の通り

1.AIブームは収まるが、ワークフローはAIによって進化が継続

 2024年には、さまざまな理由から生成AI(人工知能)ブームは収まり、ほとんどの企業は、AI運用のための適切な前提条件を整えるために、一歩後退しなければならないだろう。だが、AIの導入、活用に向けた実験やパイロットプログラムが終了するわけではない。幅広いビジネスアプリケーションにAIが機能として取り入れられ始めるだろう。実際、テック企業の回答者の20%強が、自社は多種多様なテクノロジー製品やビジネスワークフローへのAIの統合を、積極的に進めていると回答している。

2.ITプロバイダーはAIを利用してビジネスを改善

 回答者の56%は、現在のAIソリューションを何らかの形で試しているか、将来の導入に向けてツールの調査、評価を始めていると答えている。現在のAIの主なユースケースには、顧客サービスとEコマースが含まれる。

 マネージドサービスプロバイダー(MSP)は、以前から自動化を推進してきたが、AIはこの取り組みを加速する。ただし、それは大規模な雇用喪失には必ずしもつながらない。MSPの回答者の3分の2は、自社でAIを使用しても、従業員数に変化はないか、あるいは純増になると答えている。

 AIの導入課題としては、データの品質と取得に関する問題が上位に挙がっている。

3.ガバナンスがサイバーセキュリティとデータ運用の焦点に

 ベストプラクティスを確実に実施するために、ガバナンスに対する要求が高まっている。サイバーセキュリティとデータ運用に関するガバナンスの重視は、これらの取り組みを組織の目的に合致させることにつながる。

4.ITチャネル企業では、サイバーセキュリティの高度な専門知識、ノウハウが必須のスキルに

 ITチャネル企業(SI《システムインテグレーション》などベンダーに代わってITサービスや製品を提供する企業)に所属する回答者の半数以上(52%)が、自社は人手不足に直面しており、現在必要としているサイバーセキュリティスキルを持つ求職者を見つけることが難しいと回答している。ITチャネル企業は、サイバーセキュリティの専門人材不足に対処するため、2024年に全てのサイバーセキュリティ関連分野への支出を増やしたり(45%)、既存従業員にスキルアップのためのトレーニングを提供したり(43%)、スペシャリストを外部から雇ったりしようとしている(38%)。

5.クラウドアーキテクチャがソリューションの複雑さに拍車

 大半の組織は、クラウド導入の第1段階を過ぎている。第2段階では、導入、活用の取り組みがより深化していくだろう。組織がマルチクラウドシステム、財務オペレーション(FinOps)、レジリエント(回復力のある)アーキテクチャに関するベストプラクティスを構築し、これによってカスタムアプリケーションの構築に道が開けるからだ。

6.ITディストリビューターがB2Bのオンラインマーケットプレースとしての役割を強化

 ITディストリビューターはクラウドコンピューティングの波に合わせて、豊富なリソース、規模、技術アグリゲーターとしての地位を活用し、ITチャネル企業(およびベンダー)にさまざまな形でサービスを提供するマーケットプレースを構築している。マルチベンダーの複雑なクラウドベース製品を構築する企業(MSPやソリューションプロバイダーなど)の間で、このマーケットプレースの利用が拡大している。

7.ITビジネスの差別化要因としてマーケティングに脚光

 IT企業は、マーケティングに配分する予算やその他のリソースを増やしている。その背景には多くの要因がある。例えば、ソーシャルメディアの普及、インフルエンサーの影響力、コンテンツマーケティングの進化、サブスクリプションモデルの広がり、ブランドとしてのベンダーや製品への依存度の低下、自社IP(知的財産)の開発などだ。

8.デジタルトランスフォーメーションの狙いは生産性向上

 結局のところ、デジタルトランスフォーメーション(DX)の狙いは、従業員の生産性向上にある。さらに、DXで導入する新しい技術を従業員が最大限に活用できるようにするには、既存従業員のスキルアップや新規採用など、スキル開発戦略も必要になる。

9.組織がスキルに基づくキャリアの透明化を実践

 技術職に関しては、人事部門や採用担当者はスキルベースの採用アプローチに移行している。職務に応じて求められるスキルが明確に定義され、候補者はそれらのスキルの実力を評価されるようになっている。

 労働市場が逼迫(ひっぱく)する中、組織はスキルベースのアプローチを採用からキャリア開発に拡大し、スキルベースのキャリアの透明化を図ろうとしている。

10.企業はあらゆる年齢層の従業員と顧客を求めている

 最近では、IT企業の従業員も顧客も、幅広い年齢層で構成されている。これは多くの世代に開かれた考え方に基づいており、この考え方はビジネスの理にかなっている。

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