「Windows Update」のトラブルに遭遇したとき、リトライで解消することもあれば、トラブルシューティングツールやコマンドラインで面倒な操作が必要になることもあり、こちらは想定外の時間がかかることもあります。適切にメンテナンスされていれば、トラブルに遭遇する機会が減る上、Windows Updateの時間短縮にも効果があるのですが、そのメンテナンス作業でトラブルに見舞われることもあります。
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毎月の「Windows Update」が何の問題もなく進行、完了するデバイスもあれば、時間がかかったり、インストールに失敗したりするなど、トラブルに遭遇しがちなデバイスもあります。
Windows Updateのトラブルシューティングには、Windowsに組み込まれているトラブルシューティングツールの使用やコマンドラインによる「%Windir%\SoftwareDistribution」のリセット操作など、よく知られた対処方法が幾つかありますが、余計な手間と時間がかかります。それよりも、デバイスを最適な状態に保ち、トラブルを未然に防ぐことをお勧めします。
筆者がお勧めする方法は、本連載でも何度か取り上げたように、「%Windir%\WinSxS」フォルダ(以下、「WinSxS」フォルダ)のクリーンアップを定期的に実施しておくことです。このフォルダは、「品質更新プログラム」のインストールを繰り返すと、次第に肥大化していきます。肥大化してしまうと、更新プログラムのインストールのパフォーマンスを低下させるだけでなく、無駄なディスク領域を消費し続けることにもなります。
半期または年次リリースの機能更新プログラムで新バージョンにアップグレードされてきた「Windows 10」や「Windows 11」では、「WinSxS」フォルダのメンテナンスの必要性はさほどないかもしれませんが、長期間使用している「長期サービスチャネル(LTSC)」の「Windows Server」や「Windows 10 バージョン22H2」以降、新しい機能更新プログラムがリリースされることがなくなったWindows 10デバイスでは、「WinSxS」フォルダを定期的(半期または数カ月に一度)にメンテナンスすることで、肥大化の負の影響を回避できると個人的に信じています。
Windows 10/11やWindows Serverの「デスクトップエクスペリエンス」の場合は、「ディスククリーンアップ」(cleanmgr.exe)を管理者として起動し、「Windows Updateのクリーンアップ」を選択して実行することで、「WinSxS」フォルダをクリーンアップできます(画面1)。
Windows Serverの「Server Core」インストールの場合は、次のコマンドラインを管理者として実行することで、「WinSxS」フォルダをクリーンアップできます(画面2)。ディスク容量不足のデバイスで、さらに領域を解放したいのであれば、以下のコマンドラインにさらに「/ResetBase」を追加して実行するとよいでしょう(画面3)。
DISM /Online /Cleanup-Image /StartComponentCleanup
通常、「WinSxS」フォルダのクリーンアップは1時間もかからずに終わるはずですが、長期使用しているデバイスでまだ一度もクリーンアップしたことがない場合は、数時間から半日以上かかる場合がありますので、そのつもりでいましょう。
なお、「増加するディスク領域の合計」が実際とは大きく異なる場合があることや(「60GB以上増加する」という見積もりに対し、実際には10GB程度増加など)、進捗(しんちょく)状況を示すプログレスバーが信用できない(100%近くで数時間止まったように見える)といったことにも注意してください。「ディスククリーンアップ」の方は「キャンセル」ボタンで中止できるようになっていますが、「Windows Updateのクリーンアップ」を中止することはお勧めしません。これは筆者の想像ですが、キャンセルしてもクリーンアップ処理は継続され、それがシャットダウン中にも続き、なかなか電源を切れないという状態になるような気がします。その後、電源を強制オフなどすると、「WinSxS」フォルダの整合性がおかしくなり、逆に次のWindows Updateに悪影響を与えるかもしれません。開始したら、いつか終わると信じて、辛抱強く待ちましょう。
先日、「WinSxS」フォルダをメンテナンスしたことがなかった仮想マシン(前出の画面2)があったので、念のため自宅や「Microsoft Azure」上の物理/仮想マシン全てでクリーンアップを実施しました。その際、おおむね1時間以内に完了したのですが、2台の仮想マシンでは完了までに半日程度かかりました。また、別の1台の仮想マシンでは、「ディスククリーンアップ」を開始しても、「スキャン中:システムエラーのメモリダンプファイル」の状態が数時間続き、結局「ディスククリーンアップ」ウィンドウを開くことができませんでした(画面4)。
同様の事象がないかどうかをWebサイトで検索してみたところ、幾つか事例が見つかりました。回避策として最初に見つかったのは「sfc /scannow」コマンド(システムファイルチェッカー)の実行です。しかし、筆者の環境では効果がありませんでした。
次に見つかったのは、以下のレジストリキーにある「Flags」値のデータを「0」に書き換える方法です(画面5)。こちらは筆者の問題を解決してくれました(画面6)。もし同様のトラブルに遭遇した場合は参考にしてください。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\VolumeCaches\System error memory dump files
2024年初のセキュリティ更新プログラムが提供された1月10日(日本時間)、Windows 10と「Windows 11 バージョン21H2」「Windows Server 2022」を実行しているユーザーの多くが、エラー「0x80070643」で失敗を繰り返すセキュリティ更新プログラムに悩まされたと思います。その多くの人は、問題をまだ解決できていないかもしれません。具体的には、以下のセキュリティ更新プログラムです。
このエラーに遭遇した場合は、本稿で説明したどの方法でも解決できません。原因は「回復パーティションのサイズ不足」だからです。詳しい原因と対処方法については、以下の記事で説明しています。ただし、難易度が高く、コマンドライン操作を誤ると環境を壊してしまう可能性もあります。Microsoftがよりフレンドリーな解決方法を用意してくれることを強く期待しています。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2008 to 2024(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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