エンジニアはきっと、皆、同じ夢を見ているGo AbekawaのGo Global!〜日立造船の張さん from 中国(後編)(2/2 ページ)

» 2024年04月16日 05時00分 公開
前のページへ 1|2       

自信を持って自分の仕事をしていれば、いつか世界を変えるかもしれない

阿部川 一緒に仕事をするのはほとんどが日本人だと思いますが、困ることや戸惑うことなどはないですか。日本人のエンジニアと中国のエンジニアでの違いだとか。

画像 阿部川 “Go”久広

張さん 私は中国で仕事をした経験がないので、中国のエンジニアがどのように働いているのかは分からないです。ただ、中国のIT企業で働く友達は、仕事に対する圧力――ストレスがかかると言っていました。毎日報告しなければならないとか、スピードに対する要求がすごく強いとか、必ず完成させねばならないとか。でも、日本はそこまで厳しくないと思います。残業もそれほどありませんから。

阿部川 日本全体ではどうかは分かりませんが、張さんはストレスが少ない環境で仕事できているのですね。張さんはエンジニアとして何を目指していますか。きっとそれが読者へのアドバイスやメッセージになると思います。

張さん エンジニアは皆、同じ夢があるのではないかと思います。「自分で作ったものが世界を少しでも変えることができるのではないか」と。これまでもPCやスマートフォンなどITの力が人間の生活を変えましたよね。

 私も、自分のできること、していることは未来を変えられると信じています。今の自分の仕事をちゃんとやればもっと良い未来にできる。だからエンジニアの皆さんも、自信を持って、自分のことをちゃんとやっていけば、絶対もっと良い未来になると考えましょう。

画像 「自分のできること、していることは未来を変えられると信じています」

編集中村 いろいろな仕事を担当してみたいと言っていましたが、もしエンジニアじゃなかったらどんな仕事をしてみたいと思いますか。

張さん 日本に来ていろいろなドラマを見て、『家売る女』というドラマ(不動産がテーマのドラマ)がちょっと気になったんです。他の人が見て悪い家だと感じても、必ず良いところがあって、その良いところを探して販売する、といった内容だったのですが、そういう仕事って面白いなと思いました。だから、もしチャンスがあれば家を売る仕事に挑戦したいですね。人が気付いていない価値を見つけて提示してあげる仕事は魅力的だと思います。

Go’s thinking aloud インタビューを終えて

 張さんのインタビューを振り返ったとき、ソウルのYLABという企業のエンジニアを思い出した。

 創設者でエンジニア兼クリエイターの尹仁完(ユンインワン)さんは、デジタルアニメーションとスマートフォンの特性を融合させ、「縦スクロールアニメ」という新しい表現の形を創造した。クリエイターは歩きながら「iPad」でアニメーションを描き、画面をスラッシュして物語を作り、そのままインターネット経由で成果物を編集者に送ることができる。頭の中のストーリーをあっという間に具現化できるというわけだ。

 張さんも、努力することと未来とが一直線で結ばれていて、こちらがまぶしくなるくらい、エンジニアリングが世界を変えることに疑いを持たない。そしてその実現のためには苦労を惜しまず、加えて彼には縁を紡ぐ人間力があった。テクノロジーが世界を変え、それが人と人をつなぎ、社会がより良い姿に変わっていく。そうだったのだ、テクノロジーでできることは、まだまだ無限にあるのだと、2人と話し、改めて勇気をもらった。

阿部川久広(Hisahiro Go Abekawa)

アイティメディア 事業開発局 グローバルビジネス戦略室、情報経営イノベーション専門職大学(iU)教授、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD) 訪問教授 インタビュアー、作家、翻訳家

コンサルタントを経て、アップル、ディズニーなどでマーケティングの要職を歴任。大学在学時から通訳、翻訳も行い、CNNニュースキャスターを2年間務めた。現在情報経営イノベーション専門職大学の学部長、教授も兼務。神戸大学経営学部非常勤講師、立教大学大学院MBAコース非常勤講師、フェローアカデミー翻訳学校講師。英語やコミュニケーション、プレゼンテーションのトレーナーとして講座、講演を行う他、作家、翻訳家としても活躍中。

編集部から

「Go Global!」では、GO阿部川と対談してくださるエンジニアを募集しています。国境を越えて活躍するエンジニア(35歳まで)、グローバル企業のCEOやCTOなど、ぜひご一報ください。取材の確約はいたしかねますが、インタビュー候補として検討させていただきます。取材はオンライン、英語もしくは日本語で行います。

ご連絡はこちらまで

@IT自分戦略研究所 Facebook@IT自分戦略研究所 X(旧Twitter)電子メール


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。