AIの最も大きな懸念事項、日本だけが「システム障害」を挙げる KPMGコンサルティングAIへの社会的認識の変化について世界17カ国で調査

KPMGコンサルティングは、「AIは信頼できるか〜AIへの社会的認識の変化に関するグローバル調査2023」を発表した。日本は75%の人が「AIへの理解度が低い」と回答しており、調査対象国の中で最も低かった。

» 2024年02月09日 08時00分 公開
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 KPMGコンサルティングは2024年1月31日、「AI(人工知能)は信頼できるか〜AIへの社会的認識の変化に関するグローバル調査2023」(日本語版)を発表した。これは、17カ国(日本、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、インド、イスラエル、オランダ、シンガポール、南アフリカ、韓国、英国、米国)、1万7000人以上を対象に、AIに対する人々の信頼や認識、AIの運用と管理への期待などについて調査した結果をまとめたもの。

画像 プレスリリース

75%が「保証の仕組みが整っていればAIを信頼する」

 「AIを信頼すること」に懸念を抱いている人の割合は61%。67%の人が、「AIの受容度は低い」「(需要度は)中程度」と回答した。年代や職種別に見ると、若い世代や大卒者、管理職は、AIをより信頼し、受け入れ、肯定的に捉えている傾向にあった。また、新興国では、AIを信頼し、受け入れ、肯定的に捉えている人の割合が他の国よりも高かった。

 AIの利用について、最も信頼度が低かったのは「人事」分野、最も信頼されていたのは「医療」分野だった。75%の人が「保証の仕組みが整っていれば、AIをより積極的に信頼する」と考えており、AIに対する規制を望んでいる人は71%に上った。また、「仕事で利用するAIを信頼したい」と考えている人が約半数。ただし、人事分野でのAIの活用に「抵抗がある」と回答した人が多数を占めた。40%の人が「自身の仕事はいずれAIに置き換わる」と考えていた。

 AIはさまざまなメリットをもたらすと考えている人の割合は85%。ただし、メリットがリスクを上回ると考えている人は半数にとどまった。最も懸念していることとして「サイバーセキュリティリスク」を挙げた人は84%を占めた。

AIに関する理解度は、調査対象国の中で日本が最低

 日本に限ると、AIに不安を感じている割合が多い傾向にある。「AIを信頼したい」と考えている日本人は23%。「AIを受け入れている」と回答した日本人の割合は56%で、オランダに次いで2番目に低かった。

 「AIのメリットはリスクを上回る」と考えている日本人は42%だった。ただし、68%がさまざまなリスクを懸念しており、調査対象国の中で日本人だけが懸念事項として「システム障害」(81%)を挙げた。

 AIに関する理解度は、調査対象国の中で日本が最も低く、75%が「AIへの理解度が低い」と回答した。「AIについてさらに学びたい」と考えている日本人の割合も調査対象国で最も低く、55%にすぎなかった。

 KPMGコンサルティングは、この調査結果から「責任あるAIの利用を強化する、『制度』『動機付け』『不確実性の低減』『知識』という4つの要素が特定できた」としている。

 「特に“制度”はAIへの信頼に最も強い影響を与える。AIを安全に利用するための保護措置、規制と法律、AIを開発、利用、管理する政府機関や営利組織に対する信頼が重要だ」(KPMGコンサルティング)

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