Microsoftは、前回説明した「制御された機能ロールアウト(Controlled Feature Rollout:CFR)」を使用して、Windows 11 バージョン22H2以降およびWindows 10 バージョン22H2に対して「Copilot in Windows」の段階的なロールアウトを進めています。その現在の状況をまとめました。
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「Copilot in Windows」のプレビュー版は、「Windows 11」には2023年9月のオプションの更新プログラム(Cリリース、OSビルド22621.2361)から、「Windows 10」には2023年11月のオプションの更新プログラム(Cリリース、OSビルド19045.3758)に含まれています。ただし、誰でも、すぐに利用可能になるわけではありません。
筆者の経験に基づく情報ですが、「Windows 11 バージョン23H2」の新規インストールでは、最初からCopilot in Windowsが利用可能なようです。しかし、「Windows 11 バージョン22H2」や「Windows 11 バージョン22H2」から有効化パッケージでWindows 11 バージョン23H2にアップデートしたデバイスでは、利用可能な場合もあれば、まだ利用可能になっていない場合もあります。
「Windows 10 バージョン22H2」については、段階的なロールアウトが開始されたばかりで、Copilot in Windowsが利用可能になったユーザーはまだ少数のようです。なお、Windows 11とWindows 10のCopilot in Windowsは、どちらもまだプレビュー段階にあり、一般提供はされていません。
段階的なロールアウトの早期に、Copilot in Windowsのような新機能を利用可能にするには、「Windows Update」の「利用可能になったらすぐに最新の更新プログラムを入手する」トグルスイッチをオンにして、検出された「Windows構成(の)更新プログラム」をインストールし、再起動します。しかし、筆者が検証用に用意した複数台のWindows 10 バージョン22H2では、そのように設定しても、ロールアウト開始から3カ月たった現在もまだCopilot in Windowsは利用可能になっていません(画面1)。
なお、Windows 10の場合、現在Copilot in Windowsは「Microsoftアカウント」でサインインしており、4GB以上のメモリと720p(1280×720p、WXGA)以上の解像度の、HomeまたはProエディションを実行している“管理されていないデバイス”がロールアウトの対象です。EnterpriseおよびEducationエディションは初期ロールアウトの対象外です。
また、“管理されているデバイス”とは、モバイルデバイス管理や「Windows Update for Business(WufB)」「Windows Autopatch」「Windows Server Update Services(WSUS)」などで管理されている、Homeエディション以外を実行するデバイスのことです。
Windows 11の場合は、「Microsoftアカウント」または「Microsoft Entra ID(旧称:Microsoft Azure Active Directory)アカウント」でサインインしているデバイスに、広くロールアウトが進んでいるようです。Copilot in Windowsの最新の状況(ロールアウト状況や一般提供の開始)については、以下のWebページで確認してください。
前述のように、Windows 11とWindows 10のCopilot in Windowsは、どちらもまだ“初期プレビュー”の段階です。そして、Windows 11のCopilot in Windowsの全ての機能が、Windows 10で利用できるわけではありません。
“コンテンツの検索や生成”という主要な機能は同じですが、Windows 10のCopilot in Windowsには、OSやアプリと連携する機能が含まれません。
簡単な例を示しましょう。Windows 11のCopilot in Windowsに「メモ帳を起動して」や「ダークモードに設定したい」と質問すると、「はい」ボタンのワンクリックで、アプリの起動やOS設定が可能です(画面2、画面3)。
一方、Windows 10のCopilot in Windowsに全く同じ質問をしても、ユーザーがどのように操作すればそれを実現できるか、説明してくれるだけです(画面4、画面5)。
なお、画面4と画面5のCopilot in Windowsは、詳細については説明しませんが、提供元がMicrosoftではないツールを使用して、強制的に利用可能にしたものです。
将来のリリースでは、Windows 11とWindows 10のCopilot in Windowsの機能差は少なくなるようですが、それでもWindows 11と完全に同じCopilot in WindowsがWindows 10で利用できるようになることはないかもしれません。なぜなら、MicrosoftがWindows 10にもCopilot in Windowsを提供する大きな理由の一つが、(Copilot in Windowsの完全版を利用できる)Windows 11への移行を促すことだと考えられるからです。
また、プレビュー段階にあるCopilot in Windowsの段階的なロールアウトの影響で、ユーザーによってエクスペリエンスが異なる(利用できる/できない、アイコン位置の違いなど)という点も分かりにくく、他の“Copilot”の存在(「Copilot for Microsoft 365」など)と相まって、少なからずユーザーを混乱させています。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2008 to 2024(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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