ガートナージャパンは、アプリケーション変革を進めるには、丸投げ体質からの脱却が必要だとの提言を発表した。丸投げ体質を転換し、自らのマインドセットを見直しつつ、ビジネス部門と価値を共創するための体制を構築する必要があるとしている。
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ガートナージャパンは2024年3月28日、アプリケーション変革に関する提言を発表した。ビジネスの急激な変化に追従するため、開発の内製化や顧客とのチャネル開拓などさまざまな取り組みを進める企業にとって、大きな障害になるのは「人(従業員)のマインドセット」だという。
同社の本好宏次氏(バイスプレジデント アナリスト)は「アプリケーション開発の内製化やCX(Customer Experience)の向上などの取り組みを進めようとしても、人(従業員)のマインドセットが変わらないと新しいテクノロジーは根付きにくい」と指摘している。中でも深刻なのは、いわゆる“丸投げ体質”のマインドセットだ。
ガートナージャパンは、アプリケーション分野での丸投げ体質は「やりたいことを伝えるだけ」という発注側の姿勢と、「依頼されたことをやるだけ」という受注側の姿勢が、ビジネス部門からIT部門、そしてIT部門から外部委託先へと連鎖する形で現れていると分析している。
「CX向上のように部門横断的な推進が重要な施策でこの体質が顕在化すると、連携の取れていない個別最適なアプリケーションが乱立するという事態につながりかねない。ソフトウェアエンジニアリングに関わるリーダーは、こうした丸投げ体質を転換し、率先して自らのマインドセットを見直しつつ、ビジネス部門と価値を共創するための体制を構築する必要がある」(ガートナージャパン)
丸投げ体質は別の問題も引き起こす。それはパッケージの過度なカスタマイズだ。
同社の調査によると、ERP(Enterprise Resource Planning)パッケージのカスタマイズ率を20%未満に抑えている国内企業の割合は33%にすぎず、27%の企業が過半数の機能をカスタマイズしていることが分かった。過度なカスタマイズは、運用コストの高止まりや、バージョンアップ時の負担増大などを引き起こす。ガートナージャパンは「丸投げの姿勢がパッケージのカスタマイズを増やす要因になっている」とみている。
丸投げ体質は開発の内製化についても影響を及ぼすという。ガートナージャパンは「丸投げ体質を改めないまま内製化を進めると、統制の取れないカスタマイズや機能拡張が繰り返され、技術的負債が積み上がる恐れがある」と警告している。
本好氏は、「ビジネスとITのメンバーが共に課題解決に取り組む体制を構築できる企業では、カスタマイズを減らすことでパッケージアプリケーションの利用コストを抑えつつ、タイムリーに新機能を活用してビジネス価値を実現しやすくなる」と述べている。
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