「新しい開発手法やツールを導入したが、期待したほど効果が上がっていない。むしろ生産性が低下した気がする……」。そんな課題を抱える企業に不足している視点とは何か。第一線で活躍するアジャイルコーチがDevOpsの視点でソフトウェア品質について語った。
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現在のソフトウェア開発において一番に求められるのはやはり「スピード」だろう。ビジネス環境の素早い変化に追従し、ユーザーに価値を届ける。これを実現するためにさまざまな考え方が生まれ、その取り組みを支援するツールも次々に登場している。だが、そこで気になるのが「ソフトウェア品質をどのように確保するか」だ。
どれだけ素早くても品質が不足していては意味がない。一方で、テストに過剰に時間をかけるわけにもいかない。こうした背景もあり、運用と開発のサイクルを回す「DevOps」が改めて注目されている。そこで本稿は、アイティメディアが主催したライブ配信セミナー「@IT 開発変革セミナー 2024 Winter」の基調講演を基に、DevOpsの視点からソフトウェア品質を向上させる方法を探る。
ソフトウェア品質をないがしろにしている開発者はいないと思うが、その影響を定量的に捉える機会はあまりないだろう。アジャイルコーチ/システムアーキテクトのkyon_mm氏(以下、kyon氏)はソフトウェア開発における品質の重要性を示す、2つの研究データを紹介した。
1つは「バグ発見のタイミングによる改修コストの違い」(図1 左図)だ。設計時に発見できた場合の改修コストを1とした場合、実装時では6.5、テスト段階では15、リリース後になると100程度に膨れ上がっている。もう1つは「上流工程での不具合摘出比率と信頼性(リリース後の不具合発生)の関連を調べたもの」(図1 右図)で、上流工程で品質を積み上げた方がリリース後の不具合発生が少ない結果となっている。
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