編集鈴木 ダニーさんは人生のターニングポイントで、ぱっと来たチャンスを条件反射というか「取りあえずつかんでみよう」と手を伸ばし、それを成功に変えていることが多いと感じました。きっと普段から来た話をばっとつかむ“くせ”があると感じたのですが、それで失敗したことはないのですか。
ダニーさん 失敗……かどうかは分かりませんが、例えばスペイン語を勉強していたときには、スペインに行って翻訳の仕事ができるくらいになるんじゃないかと思っていたのですが、結局はそこまでいかなかった。でもそれがきっかけでスペイン語のWebサイトを見つけ、そこからさらにプログラミングを学ぶことにつながったわけです。
アクトビに入社する前に「未経験OK」な会社の面接をいろいろ受けましたが、落ちたとこもいっぱいあった。でも、そういう面接をたくさん経験したからこそ、アクトビの藤原さんと面談した時、どうやって話せばいいのかが分かった。失敗って考え方の問題じゃないかなって思います。
編集鈴木 失敗したらそのままにしないで次につなげるということですかね。
ダニーさん はい。英語のことわざで「プールで速く泳ぎたかったら、壁を作って“けのび”しろ」というものがあります。壁がないと踏み出せないですよね。だから壁というか、踏む出すための何かを作る。そこから次のステップに行く。でも最初にステップがないと、次のところに行けない。だから、失敗も、そこからまた次のスタートにできるということです。
編集鈴木 失敗もキックするための壁になる。まずは、動いてみることですね。
ダニーさん そうですね、ただやるだけ。最初のプロジェクトとか、勉強している時って、何をやっているか分からないかもしれないし、作ったものの品質もそこまで高くないかもしれない。でも分からない分、何でもできる。新しいことを勉強する時も、「これが一番自由なプロジェクトだ」って思った方がいいと思って、だから、好きなようにやった方がいいです。
もちろん、いろいろな経験が重なるとできることも増えてくると思います。ただその分、自由は減ります。だから、むしろ初めてのときが一番楽しい時なんじゃないかなと思います。取りあえず、やる。そして楽しく、です。
ダニエルさんは、「軽い感じ」で始めたことを、常に「しっかりとした現実」に変えてきた。そのフットワークの軽さは小気味よかった。
話を聞きながらスタンフォード大学のクランボルツ教授の「計画された偶発性理論」を思い出した。まずは行動し、偶然の出会いや出来事をオープンマインドで受け止める。もちろんリスクも伴う。また、この理論は「優先順位の付け方」が絶妙だ。ここで言う優先順位とは、例えば5つのタスクがあったとして「今はできないから優先順位を付けてやる。でも時間が許すのなら全部やりたい」ではなく、「一番大切と思える1つをピックアップして、他はやらない」という行動様式だ。
米国で活躍するMicrosoftのシニアエンジニア、牛尾 剛氏の著書『世界一流のエンジニアの思考法』によれば、それは「Be Lazy」(怠惰であれ)という、世界でも一流エンジニアたちの思考方法だ。
この思考方法と同じ考えを持つダニーさんが成長し続けるのも必然といえる。
アイティメディア 事業開発局 グローバルビジネス戦略室、情報経営イノベーション専門職大学(iU)教授、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD) 訪問教授 インタビュアー、作家、翻訳家
コンサルタントを経て、アップル、ディズニーなどでマーケティングの要職を歴任。大学在学時から通訳、翻訳も行い、CNNニュースキャスターを2年間務めた。現在情報経営イノベーション専門職大学の学部長、教授も兼務。神戸大学経営学部非常勤講師、立教大学大学院MBAコース非常勤講師、フェローアカデミー翻訳学校講師。英語やコミュニケーション、プレゼンテーションのトレーナーとして講座、講演を行う他、作家、翻訳家としても活躍中。
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