IDCは北米のITリーダーを対象にした調査結果を発表した。従業員のITスキル不足は深刻化しており、企業はトレーニング、スキルアップ、リスキリングのための独創的な方法を見つける必要があるという。
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IDCは2024年5月14日(米国時間)、北米のITリーダーを対象にした調査結果を発表した。これによると、回答者の約3分の2が「ITスキルの不足が原因で、収益成長目標の未達、品質の問題、顧客満足度の低下などが生じた」と回答した。IDCは、2026年までに世界中の組織の90%以上がITスキル不足の影響で、製品の遅延、競争力の低下、事業の失策によって約5.5兆ドルの損失が発生すると予測している。
企業が求めるスキルについては、AI(人工知能)に関するものが最も多い。IT運用スキルはそれに続いて2番目に求められている。さらに、アーキテクチャ、データ管理、ストレージ、ソフトウェア開発などのスキルが、需要の高いスキルのトップ10にランクインしている。IDCはこの状況を、「従業員がデジタルビジネススキル、ヒューマンスキル、リーダーシップスキルなどの非技術的スキルも同時に求められていることで、さらに状況が複雑になっている」と分析している。
IDCのデジタルビジネス向けITスキルプラクティスのリサーチディレクターであるジーナ・スミス氏は次のように述べる。「適切なスキルを持つ適切な人材を適切な役割に配置することは、かつてないほど困難になっている。ITスキル不足が拡大し、新しいテクノロジーの登場が加速する中、企業は従業員の雇用、トレーニング、スキルアップ、リスキリングのための独創的な方法を見つける必要がある。企業の学習文化こそが、そこに到達するための唯一最善の方法だ」
今回の調査回答者の70%が、ラボ、ゲーム、ハッカソンなどの体験型学習法を既に活用していると回答している。また、生成AIも現在のトレーニング環境に導入されており、調査対象となった組織の半数以上がITトレーニングに生成AIを使用、あるいは試験運用している。
IDCによると、従業員のトレーニングに関する不満を克服するために、ITリーダーはさまざまな戦略を採用して、組織内でより効果的な学習環境を促進する必要があるという。
「積極的に学習する企業文化を醸成するためには、トップから始める必要がある。リーダー自身が、なぜ学習が組織にとって重要なのかを示すために、従業員の目標とビジネス目標を一致させ、従業員の成長過程を通じて継続的な学習を促進し、パフォーマンスだけでなくプロセスも評価する報奨プログラムを作成しなければならない。また、十分な時間、資金、人的資源を配分することも重要だ」(IDC)
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