「日本独自の生成AI開発を加速させる」 KDDIとNICTがLLMの共同研究を開始「日本語汎用LLM」の傾向に合った課題解決技術を研究

KDDIは、NICTと大規模言語モデルに関する共同研究を開始した。ハルシネーションの抑制や、マルチモーダルデータの取り扱いを可能にする技術を研究開発する。

» 2024年07月08日 08時00分 公開
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 KDDIは2024年7月1日、情報通信研究機構(NICT)と大規模言語モデル(LLM)に関する共同研究を開始すると発表した。LLMを活用する上で課題となるハルシネーション(幻覚)や地図情報の取り扱いといった課題を解決するための技術を研究する。

画像 共同研究の概要(提供:KDDI

600億件以上のWebページのデータを活用

 本研究は、総務省とNICTが令和5年度補正予算を活用して推進する「我が国における大規模言語モデル(LLM)の開発力強化に向けたデータの整備・拡充およびリスク対応力強化」を適用した共同研究の第1弾となる。両社の役割としては、KDDIがハルシネーションの抑制技術とマルチモーダルAI技術の高度化と評価を担当。NICTはLLM開発のための学習データの開発と提供、LLMの事前学習の実施とその評価を担当する。

 KDDIグループはこれまで、生成AI開発のための大規模計算基盤を整備し、オープンモデル活用型の日本語汎用(はんよう)LLMと領域特化型LLMの開発体制を整えてきた。NICTは、これまでに蓄積してきた600億件以上のWebページのデータを活用して、LLMの事前学習に使うデータを整備してきた。さらに、130億パラメーターから3110億パラメーターのLLMまで、1年で合計17個のLLMの事前学習を完了させたという。

 ハルシネーションが抑制されればLLMの信頼性向上につながるのはもちろん、地図画像と付随する建物情報などマルチモーダルデータを取り扱えるようになれば位置関係を把握できるようになる。例えば通信事業者の顧客応対に適用すると、問題が発生している設備や地域が即座に把握可能だ。

 KDDIは「NICTをはじめとしたさまざまなパートナーと共に、日本独自の生成AI開発を加速させる」としている。

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