IDCは、世界のクラウドインフラ支出に関する調査レポートを発表した。AI関連投資の爆発的な増加により、クラウドインフラストストラクチャ支出額が引き続き増大しているという。
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IDCは、2024年6月28日(米国時間)、世界のクラウドインフラ支出に関する調査レポートを発表した。これによると、2024年第1四半期における専用/共有クラウドでのコンピュートとストレージインフラ製品への支出は、前年同期比36.9%増の330億ドルとなった。
クラウドインフラへの支出は引き続き非クラウドセグメントを上回っており、後者は2024年第1四半期に5.7%増の139億ドルとなった。クラウドインフラストラクチャセグメントでは、ユニット数の伸びが11.4%と鈍化した。IDCはこれについて、主にGPUサーバの出荷が通常より多かったことに関連して平均販売価格(ASP)が引き続き上昇したことが背景にあると述べている。
IDCのリサーチディレクターを務めるジュアン・パブロ・セミナーラ氏(ワールドワイド エンタープライズ インフラストラクチャ トラッカー)は次のように述べる。「クラウドインフラ支出額の伸びは、AI(人工知能)関連投資の爆発的な増加によって、引き続きけん引されている。これにより、サーバだけでなく、エンタープライズストレージにも好影響が現れ始めている。社会政治的な面では、まだ警戒感は残っているものの、AIへの投資計画は2024年も減速することなく、今後も高い成長率を維持することが明らかになっている。さらに、経済見通しの改善で、クラウドベースの支出が2桁のペースで増加するなど、2024年と2025年の支出見通しは非常に良好だ」
共有(パブリック)クラウドインフラへの支出は2024年第1四半期で263億ドルに達し、前年比で43.9%増加した。共有クラウドインフラのカテゴリーは、専用(プライベート)クラウドの導入や非クラウド支出と比較して、引き続き最大の支出シェアを占めている。2024年第1四半期は、共有クラウドがインフラ支出全体の56.1%を占めた。専用クラウドインフラ部門は、前年同期比15.3%増の67億ドルと低成長にとどまった。
IDCは2024年のクラウドインフラ支出は前年比26.1%増の1383億ドルに達すると予測している。また、非クラウドインフラは前年比8.4%増の648億ドルに、共有クラウドインフラは、通年で前年比30.4%増の1083億ドルに達すると予測している。
専用クラウドインフラへの支出も2024年には12.8%の2桁成長が予想されており、年間で300億ドルに達する見込みだ。2024年における成長の大部分がクラウド支出からくる一方で、非クラウドインフラの成長予測が8.4%と低調だ。だが、一般的な非クラウド専用システムも2024年に回復する見込みだ。
IDCのサービスプロバイダーカテゴリーには、クラウドサービスプロバイダー、デジタルサービスプロバイダー、通信サービスプロバイダー、ハイパースケーラー、マネージドサービスプロバイダーが含まれる。2024年第1四半期、サービスプロバイダーがコンピュートおよびストレージインフラに投じた金額は、前年同期比37.9%増の322億ドルだった。この支出額は市場全体の68.7%を占めた。
非サービスプロバイダー(企業、政府機関など)の支出も147億ドルに増加し、前年比5.8%増となった。IDCは、サービスプロバイダーによるコンピュートおよびストレージへの支出は、2024年内には1322億ドルに達し、前年比26.2%の成長を遂げると予測している。
地域別に見ると、2024年第1四半期のクラウドインフラへの支出は、前年同期比で全般的に非常に良好な結果を示している。中南米だけが2.8%の減少を示した一方、西ヨーロッパが4.0%、中東・アフリカは5.3%と1桁台の成長を示した。これらの地域では、政治的緊張により、投資計画が遅れたとみられる。クラウド支出において前年同期比で堅調な2桁成長を示した地域は、アジア太平洋地域(日本と中国を除く)85.4%、日本53.1%、中央・東ヨーロッパ42.6%、米国37.0%、中国33.7%、カナダ16.1%となった。成長の大半は、ハイパフォーマンスコンピュート(HPC)やAIベースの大規模プロジェクトに関連しており、その一部は過去の供給に課題があったために遅れていた。
IDCの予測では、クラウドインフラへの支出が2023年から2028年の予測期間中に14.3%の年平均成長率(CAGR)を示し、2028年には2137億ドルに達し、コンピュートおよびストレージインフラストラクチャ全体の支出の75.0%を占めるという。
「共有クラウドインフラへの支出は2028年にはクラウド支出全体の77.5%を占め、14.8%のCAGRで成長し、1656億ドルに達する。専用クラウドインフラへの支出はCAGR 12.6%で成長し、482億ドルに達するだろう。非クラウドインフラへの支出もCAGR 3.6%で回復し、2028年には714億ドルに達する見込みだ。サービスプロバイダーによるコンピュートおよびストレージインフラへの支出は13.8%のCAGRで成長し、2028年には1999億ドルに達する」(IDC)
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